日本が誇る伝統と挑戦の革新企業

取材趣旨:企業インタビュー

ヒューマンヤードの仕事は、庭や、通路、外壁をはじめとした住宅本体の外側の工事である「外構工事」を通じて、外から住宅を見た時の「趣」をデザインすること。「趣」があることで、その空間に暮らす人たちの生活がより豊かで楽しいものへと進化するのだ。創業時はわずか数人で歩み出した同社は、創業から33年を経て、総勢170人で1年に4000棟もの住宅の外構工事を手掛けるほどに成長。さらに、長年培ってきた住宅外構工事の意匠性の高さを基盤に新事業を展開。社長自ら設計した店舗にて飲食店を経営している。「従業員が10名もいれば大所帯」と言われる外構工事の世界で、本社50名+職人120名の規模にまで組織を成長させてきた渡辺代表に、組織運営の秘訣と今後の展望を聞いた。

  • ヒューマンヤード株式会社

    代表取締役社長渡辺 晴志

    素材そのものの味を生かし、できる限り構造をみせる。そうすることで飽きのこない生活になじんだ家ができる。庭、室内、家具に至っても同じであろう。

    すべてのものはやがて朽ちていく。しかしそれこそが趣であり、情緒となる。

    「わび、さび」に通じる要素は日本だけではない。
    ウェグナーやイームスが手がけた椅子、F.L.ライトが提唱したユーソニアンハウスにもそれを感じる。

    実用的で無駄をなくした美しさには人間的な優しさが備わり、とても魅力的に映る。

    少なくていい、波長の合うものと暮らしていきたい。

目次

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

社風

自ら行動し、共に協力し高めあう

自立した社員が高いレベルで共に助け合う社風がヒューマンヤードにはある。事実、社員は主体性を持ち、自ら考え、行動し、協力し合いながら成果を出している。その社風の根幹となったのは、「可能性があることは、何でも挑戦させたい」という渡辺社長の想いだ。自ら考え行動し、成果を出す社員を評価するために、成果報酬制と出来高制の仕組みを採用している。 さらに、同社のもう一つの文化は、助け合い高め合うこと。それぞれの社員が技術を磨き、身に付けた新しい技術を社内に惜しげも無く共有する文化がある。例えば、設計部門では、設計担当者同士が自身の最新の学びをもとに、意匠のアイデアを出し合い、一つの設計図を描き上げることがある。一人ひとりがプロとして自走しながらも高いレベルで助け合う、それが家業から組織へと進化するための鍵だと渡辺社長は語る。「この業界だからこそ、組織化された会社を創りたかった」そんな渡辺社長の経営者としての信念が、この「良い意味での自由」そして「助け合う」社風を形成してきたのである。

独自性

機能を満たすだけではなく、”趣をデザイン”する意匠性

「もっと良く出来る」。高みを目指す一人ひとりの想いが、現在のヒューマンヤードの独自性である「意匠性」の高さを創り上げた。ヒューマンヤードが手掛ける外構工事とは、店舗や住宅の建屋そのものの工事ではない。外構とは、建屋の廻りや門、玄関までの通路といった部分。建屋の外観や内装など、目が行きがちな部分以外の外部環境だ。 同社はそうした外構部分の工事に特化して、高い意匠性を持ちながら、建屋や周囲の環境と調和した、二つとない空間を生み出している企業である。例えば、外壁の色に合わせて、庭に敷く石の色を選択し、調和や対照性を演出したり、素材と植栽を組み合わせて暖かみを持たせるなど、周囲の状況に合わせた細やかな心遣いが光る。 外構工事を始めた時から、より高い意匠性を追求してきた同社。今では、設計時点から具体的な完成イメージを入居者と共に描き、想像以上の外構を創り、住まい手の生活をより豊かに、潤いのあるものにしていく。

展望

次の世代の若者たちに夢を持ってもらいたい

ヒューマンヤードは今後の展望として、事業所の積極的な展開を目指す。 外構工事は重量物の運搬を伴うため一拠点から半径20km程度が理想的な商圏で、他の地域からお呼びがかかることは少ない。だが、ヒューマンヤードは首都圏で実績を積み重ね、大手企業から「この地域に出店してくれないか」というオファーを得るほどの評判を得た。この声に応えるかたちで、2016年上旬には所沢市、松戸市、茅ヶ崎市に新拠点を開設。今後も、首都圏を中心に新たな出店を予定している。 事業所の展開を目指すもう一つの理由は、若者に夢を持ってもらうためだ。新たな事業所を任されるのは、若くして活躍する人材。若者が事業所長として活躍し、またそんな事業所長に憧れて次の若者が事業所立ち上げを目指す。そのサイクルを創るためにも首都圏支店網の充実は欠かせないのだ。それは、決して利益を上げるためだけでなく、創業当時の渡辺社長がそうであったように「次世代の若者たちに夢を持ってもらう」というヒューマンヤードのビジョンを具現化する上でも必ず実現すべき目標だ。

構工事のプロ集団を創り上げた渡辺社長に聞く、意匠へのこだわり

設計に進出したきっかけを教えてください

30年近く前の話ですが、もともと、いわゆる外構工事に納得はしていなかったんです。首都圏に分譲住宅が展開され始めた頃、当社では建築会社から要望を受け、住宅外構工事として「ブロック積み」をメインで行っていたんですね。ですが、完成されていく住宅外構を見ながら「もっと意匠性のある外構を創れる」と常日頃感じていたんです。そんなある日、建築会社から「設計からやってもらえませんか?」という声がかかりました。当時は設計の実績はありませんでしたし、設計できる人もいなかったんです。ですが、もっと良いものを作れるという自信はありましたから、エクステリアCADができる人を早急に雇い入れ、私自身も積極的に設計に加わり「住宅外構工事の設計部隊」を立ち上げたのです。

現在、積極的に取り組んでいることはありますか

コンテストに参加し意匠の力を高めることですね。コンテストの際には、設計担当だけではなくて、施工担当の社員にも協力してもらって、会社を挙げて参加しています。意匠は、機能の観点から考えれば、不要だと考える人もいるかもしれません。ですが、完成時には大きな差が生まれます。意匠に力を入れて設計することで、お客様に気感動してもらえるような豊かな空間を生み出すことができます。そうするとお客様の生活の中に、こ家族や友人とこういう風に過ごそうとか、週末は庭を手入れしようとか、プラスαのものが生まれるんです。より多くのお客様に「やっぱり車を2、3年我慢して、外構に力を入れて良かった」と思っていただけるように、これからもコンテストで自分たちの力を試し、意匠の力を伸ばしていきたいですね。

品質を向上させるうえで、大事にしていることは何ですか

外構工事を行う会社としてはそれなりの規模となり、1年間で施工できる件数も多くなっているため、スケールメリットを出せる状態になってきました。社員も60人という規模になり、部署は分かれてはいますが、「部署の垣根なく良いものはどんどん共有してコミュニケーションをとるように」と伝え続けています。具体的には、良い施工方法や技術・ノウハウについてはもちろん、施工安全性についても、全て社内の安全大会で共有しています。施工の実績を生かし、情報共有しお互いに学び合うことで、一人ひとりのノウハウを増やすだけでなく、会社全体として加速度的に品質を向上させることができております。当社が、家業ではなく組織であることを重視しているからこそ実現できたことだと考えています。

  • 庭や門、玄関までのアプローチを外構部という

  • 意匠性の高い空間を創出している

  • 商店街のアーチ等も手掛ける

良い空間を一つでも多く

ヒューマンヤード株式会社 設計部部長 近田哲也

ヒューマンヤードが圧倒的な優位性を持つ「設計」。「趣をデザインする」というヒューマンヤードの大切にしている理念を形にして表現することができているのは、長年培ってきた設計の技術があるからこそである。今回お話を伺った近田さんは、入社以来、設計担当としてヒューマンヤードの設計ノウハウを積み上げ続け、同社の設計技術を他社が追い付くことができないほどの優位性になるまで磨き上げた人物である。普段の仕事の中でも、外構工事を単純な工事にするのではなく、外構工事を通じて家、店、街の魅力を高められる設計を追求し、その場所でしかできないオンリーワンの趣のある空間を作り出すことを常に求めている。今では、設計部の部長として設計の質を管理する近田さんに、ヒューマンヤードで脈々と受け継がれる、仕事に対する姿勢・考え方について詳しく話を伺った。

伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い

入社理由

庭を設計し、形にする面白さ

大学卒業後、近田さんが就職先に選んだのは植木屋。手に職をつけようと就職した植木屋で、コツコツと作業をして庭を創る楽しさを知り、いつしか「建築の観点から庭の提案ができるようになったらいいな」と思うようになったという。 転職を考えていた近田さんと同社との出会いは求人広告。建築の観点から庭を作り出すことができる同社のことを知り「やりたいことができるのはこの会社しかない」と思って電話をかけたのが始まりだ。渡辺社長は「じゃあ、明日から来るか?」と拍子抜けしてしまうような言葉を返してきたという。 入社時は、設計部門社員はわずか2名。施工管理者も8名と今の5分の1程の規模だった。入社から15年、現在では、年間4000件以上の施工を行う規模になった同社の中で、設計部隊を任されるようになった近田さん。今でも入社時に持っていた「創ること」に対する情熱が燃え続けている。

やりがい

想いを込めた設計図で、お客様の希望を実現する

ヒューマンヤードの強みである「設計」。社内の設計技術を磨き続けてきた近田部長が語る仕事のやりがいは、「想いを繋ぐこと」であるという。 お客様から聞いた、理想の家、理想の暮らしのイメージをもとに設計図にお客様の想いを込める。さらに、実際に施工を行う職人さんに設計者の想いが伝わるように、職人さんの顔を思い浮かべて設計図を描いている。だから、近田さんの設計図で工事を行う職人さんからは、「これは良いものができる」「この設計は自分たちのことを考えてくれている、お客様のことを考えている」という声が挙がる。近田部長の設計図に込められた、言葉には表れない小さな心配り、気遣いが職人さんの技術・力を最大限に引き出し、結果として、お客様がイメージする以上の空間を生み出すことに繋がっているのだ。 一つの紙(設計図)にお客様の想いを乗せ、職人さんに伝え、実際に形にする。 まさに、設計図は「想い」を乗せたバトンなのだ。

良い空間をつくり続けること

「一つでも多くの良い空間をつくり続けることですよ」そう即答した近田部長の目は力強く、強い信念が感じられた。「お客様満足」「社員満足」「会社の成長」これらを全て実現するために必要なことは、「良い仕事をすること」に尽きるという。 多くのお客様にとって、家は大きな買い物であり、家に対する期待も不安も大きい。しかし、期待のハードルが高いからこそ、お客様の期待を超える仕事ができれば、お客様は驚き、感動してもらうことができる。お客様の満足そうな顔を見ることで社員の仕事に対する満足度が上がる。お客様満足は次の仕事につながり、社員満足は次の技術向上や挑戦につながり、会社が成長していく。つまり、良い仕事をし、豊かな空間をつくることが、プラスの連鎖を生み出し、お客様、社員を幸せにしていくのだ。 今後は、この夢をもっと多くの仲間と共有していきたいと近田部長は語る。 良い空間をつくる集団として、お客様と共に成長していくヒューマンヤードの今後が楽しみだ。

  • 自然を取り込み、柔らかい空間を演出

  • 外構一つで華やかな空間が生まれる

  • 外構工事が暮らしを豊かにする

「趣をデザインする」設計者の考え方そして姿勢

お客様の想像を超えるために、意識していることはなんですか

徹底的にお客様のことを考えることに尽きます。例えば、自分の中で設計イメージを沸かせる時、長年のお客様であれば相手が何を求めているか分かります。しかし、多くのお客様は初めてお話をうかがうことがほとんどなので、そういった場合、考えてもイメージが湧かない時もあります。新規のお客様の場合は、お客様の顔の動きや表情、言葉や声のトーンなど細かいサインを汲み取りながらイメージを沸かせるんです。これには根拠はないですね。直感を働かせるんです。直感で相手の意図を汲み取って、相手の求めているものを再現することが大切ですね。その結果、お客様が想像している以上の空間を創り上げることができたり、お客様から感謝の言葉をいただくことができています。

仕事に対する姿勢として、社員の皆様に共通していることはなんですか

自分で考えて自分で動く社員が多いですね。例えば、一つの頼まれごとを自分で考えて、言われたことだけではなくて、その先まで考える人が多いです。会社としても一歩二歩先を考えるということは大切にしてきましたし、社員を育成するにあたっても、先輩が常々先を考えるよう伝えてきました。新人が頼んだことだけをやった時は、「しっかりと一つ二つ先まで考えるように」と指導するというのが文化になっています。設計部隊も職人部隊も、指示を待っているのではなく創意工夫でより良いものを作ろうという思いを持っているからこそ、ノウハウや技術も高まりますし、会社としても建設会社さんやお客様から「ヒューマンヤードさんの提案は素晴らしい」と評価されることに繋がっています。

これからも大切にしていきたいヒューマンヤード「らしさ」はなんですか

会社が大きくなっても、今の優位性である高い意匠性を保ち続けることが大切だと思っています。会社として大切にしている「意匠性」や「趣をデザインする」などの考え方は、会社が大きくなっても会社の優位性として大切にしていきたいです。やはり、優位性自体がヒューマンヤードそのものであり、強みであるからこそ、これまで建設会社に認められ、お客様に喜ばれてきたのだと思います。また、働いている社員の皆も会社の強みである意匠性を大切にし、高い意匠性のある空間を提供することで、お客様に喜んでいただけることがやりがいになっているからこそ、日々頑張れると思うんです。社員皆が働きがいをもって働いていくためにも、今の優位性は保ち続けていきたいです。

担当者からのコメント

  • 監修企業 担当者

    普段生活している中では、なかなか耳にすることのない外構工事。このニッチな業界の中で、ただ造る、建てるだけではなく、”趣をデザインする”という点にとても感銘を受けました。また、外構工事を行う事業者の大半が数人で会社運営をする中、同社が、どのように”組織化”を進めてきたのか、その秘訣を知ることができました。

掲載企業からのコメント

  • ヒューマンヤード株式会社 からのコメント

    今回はご取材いただきましてありがとうございました。当社がこだわってきた「意匠性」について、大変伝わりやすくまとめていただけたと思います。これからも意匠性を追求し、「趣をデザインする」組織として、豊かな空間づくりに貢献してまいります。

企業情報

  • 創業年(設立年)

    1982年

  • 事業内容

    外構・造園・土木工事 設計施工
    エクステリア・ガーデニング資材販売・卸
    商品企画・開発及び管理
    飲食店業、住宅販売、アウトドア家具

  • 所在地

    東京都立川市錦町6-23-18

  • 資本金

    3,000万円

  • 従業員数

    100名

  • 会社URL

    http://humanyard.co.jp/

沿革

  • 1964年~1998年

    1964年 4月
    ブロック工事業を開業。

    1982年 11月
    有限会社野口ブロックを設立。

    1988年 4月
    株式会社エクスプロを設立。
    外構工事設計施工事業に進出。

    1995年 8月
    有限会社野口ブロックと株式会社エクスプロを合併。
    社名を「新成外興有限会社」に改称。

    1996年 2月
    新成外興有限会社を新成外興株式会社に組織変更。

    1998年 8月
    業務拡大に伴い、東京都国分寺市に本社および置場を移転。

    1998年 9月
    設計部を新設。EX CADを導入し、外構設計事業に本格参入。

  • 2002年~2016年

    2002年 5月
    東京都立川市錦町に本社ビルを建設し、移転。
    ガーデンショールーム「ガーデン&クラフツ」を開業。

    2006年 8月
    本社敷地内に新事務所棟を建設し、本社および法人事業部を移転。
    リストランテ「イル・コルティーレ」開業(東京都立川市緑町)。飲食事業に進出。

    2007年 3月
    「ガーデン&クラフツ」をガーデン&カフェとしてリニューアル。
    飲食事業として本格営業を開始。

    2007年 4月
    横浜支店を開設(神奈川県横浜市都筑区)。
    埼玉営業所を開設(埼玉県川口市石神)。

    2007年 7月
    建材事業部「新建」を開設(東京都小平市美園町)。
    エクステリア・建材・土木資材販売卸事業に進出。

    2007年 10月
    設計部内にS-Designチームを新設。
    街並み景観・企画デザイン事業に進出。

    2011年 9月
    造成部を開設(埼玉県新座市あたご)。

    2014年 1月
    小平支店を開設(東京都小平市美園町)。

    2016年 5月
    所沢支店を開設(埼玉県所沢市松郷)。

    2016年 6月
    千葉支店を開設(千葉県松戸市高塚新田)。
    茅ケ崎サービスヤードを開設(神奈川県茅ケ崎市堤)。

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