日本が誇る伝統と挑戦の革新企業

取材趣旨:企業インタビュー

株式会社高橋商店の創業は57年前までさかのぼる。エネルギー産業の代表的な資源として、何十年も前から人々の暮らしに欠かせない石油を様々な場所に供給している高橋商店。先に各地で起きた災害時には、40台ものタンクローリーや船便などを駆使し、一都三県のみならず北海道まで資源を提供するなど広域で大活躍、文字通り地域のエネルギーとなってきた。自社の根幹である経営理念に重きを置き、「従業員幸福度を上げる」、「エネルギーの安定供給」、「期待を超えるサービス」等の内容を忠実に遂行してきた同社。理念の中にある「地域と共に成長し豊かな社会を育む」が社会全体と共存共栄をしてきた高橋商店の現在の姿であり、「日本の未来に貢献する」という壮大な未来に繋がっていくのだろう。今回は革新的な取り組みで社員をリードしていく高橋社長にお話を伺った。

  • 株式会社高橋商店

    代表取締役社長高橋成紀

     当社は創業者である高橋正男が、昭和38年に東京都大田区羽田の地に石油販売店を開業したところからスタートいたしました。
     ガソリンや軽油、灯油といったガソリンスタンドでの燃料販売だけでなく、お客様が安心してお車に乗れるように、車検・整備・洗車といった高品質なサービスを提供しています。そのために社内では、日頃から企業理念や価値観を共有し、さまざまな教育を行っています。
     また、タンクローリーによる燃料配送事業にも注力し、道路や橋、鉄道や空港など、産業の発展を支える重要なインフラ整備に対しても、安定的な、そして安全に十分配慮した燃料の供給を行っています。
     2011年の東日本大震災発生時には、各地で電力の供給が不足し、自立・分散型エネルギーである石油の重要性が改めて認識されました。
     当社は、経済産業省(資源エネルギー庁)が全国で進めている災害対応能力を強化した「中核給油所」及び「小口燃料配送拠点」に認定されており、大規模災害等の非常事態にも安定して燃料を供給できるよう常に体制を整えております。

目次

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

社風

当たり前の事を当たり前に。従業員全員を大切にしている社風

「従業員を大切にすることです」経営者の視点からになるかもしれませんが、と前置きを入れて答えた高橋社長。「大切にする」とはどのようなことか。一番は従業員の雇用に関してだという。企業は一般的に65歳という定年を設けていることが多いが、高橋商店では再雇用により70歳を超える社員が現役で活躍している。社歴が長い社員が多く「年間の離職人数は、1~2人ですね」という社長の言葉から、一度入社してから長く勤めたいと思えるような会社であり、一人ひとりが「大切」にされていることが伺える。さらに給与制度の見直しや労務環境の改善にも積極的に取り組んでおり、決算賞与による社員の貢献度に対しての還元や極力残業を減らす施策を行っていくなど、従業員幸福度の向上を企業理念に掲げている会社の模範のような社風である。有事の時には社員同士で連絡を取り合い集合し、難題に取り組むといった抜群のチームワークを発揮するなど自分自身が「大切」にされていることを感じている社員の自発的な行動こそが高橋商店の社風と言っても過言ではないだろう。

独自性

全ての需要に可能な限り応え、安定供給を遂行する機動力

高橋社長は自社の独自性についてこう答えた。「私たちの独自性は、ガソリンスタンドを経営しながらデリバリーを行うといった両軸の経営をしているところですね。」ガソリンスタンドのみを経営している企業はたくさんあるし、デリバリー事業のみの企業もある中での両軸経営。ガソリンスタンド経営が「守り」の営業であるならデリバリー事業は「攻め」の営業といえるだろう。現状に満足することなく明確なアイデアを持ち、業界の中でも革新的な取り組みを行ってきた高橋商店。独自性とは同業他社が行っていない自社の取り組みを指すが、そのまま企業としての強みに変換できる独自性は珍しい。「デリバリーの概念を形にして、ビジネスモデルを構築した会社としては先駆者的な存在だと思います。」と話す高橋社長。遠方だろうが辺境の地であろうが燃料の供給を可能な限り遂行していくという、代々受け継がれてきたお客様思いの精神を形にした結果生まれたデリバリー事業、そして独自性。他社に大きな影響を与えるであろう高橋商店の独自性は近い将来、業界内で成功のモデルケースになるだろう。

展望

ディーゼルエンジンに特化し、災害に対応できるエネルギー企業へ

高橋社長が思い描く未来予想図はとても建設的だ。「ゆくゆくは建設現場の重機を動かしているディーゼルエンジンに特化した経営を行っていきたいです。」理由として「乗用車は電気自動車やハイブリットなど、新しいエンジン機関システムが開発されガソリンの需要は減ってきていますが、圧倒的なパワーを持つディーゼルエンジンにとって代わるエンジン機関は近い将来には開発されないのではと考えています。」とのこと。さらに近年多発している災害時に見直されはじめた石油の重要性にも注視しているという。電気が止まってしまった時にも石油を使うことで暖をとれたりすることなどから、災害時のライフラインとして分散型のエネルギーを活用していくことが災害に対応する上で重要でありその燃料供給を積極的に行っていきたいと話す高橋社長。自社で掲げている「日本の未来に貢献する」や「お客様へ安心を提供する」といった経営理念を地で行く、高橋商店らしさの溢れる展望だ。

人々の生活を支える燃料供給に重きを置いた高橋商店の思想

高橋社長の経歴を教えてください

大学で経営学を学び、就職氷河期といわれた時期の就職活動を経て外資系の大手IT企業に就職しました。長男ということもあり、いずれは家業である高橋商店を継ぐことになるという意識はしていましたね。正式に入社することになったのは、当時の営業部長が体調を崩されたタイミングでした。IT企業での仕事が楽しくなってきた時期だったのですが、以前から父にいつ入社するのかを問われていたこともあり、欠員の補充という意味合いで家業に戻りました。最初は営業からのスタートでした。営業部長からいろいろ学びたかったのですが、入社して数か月たったころ営業部長の職場復帰が困難になってしまい、もう少し早く戻ってきていればより多くを学べたと思っていましたね。一般社員時に現場で約10年間ほど経験を積み、その後経営陣に入りました。3年前に代表取締役社長に就任して現在に至ります。

高橋商店のルーツを教えてください

高橋家はもともと東京湾で海苔の養殖をやっていた家系でした。羽田空港が建設される際、海苔の養殖がビジネスとしてできなくなり、海から陸へ商売の鞍替えを行ったようです。補償金と以前から所有していた土地を原資にして始めた陸での商売ですが、創業した時期がオリンピック前だということもあり、これからのモータリゼーションを見越してガソリンスタンドの経営を始めたのではないかと思います。はじめは一般のお客様を相手に商売をしていましたが、羽田空港の拡張に伴い企業相手の取引も始めました。拡張前の羽田空港はあまり規模が大きくなく利用者が少なかったため、お客様を待っているだけではなくドラム缶に燃料を詰めて営業に回るなど積極的な行動を行ったようです。現在は形こそ違いますが、積極的な営業の姿勢が今日の高橋商店をつくっていると思います。

今後、高橋商店が成長していくうえで必要だと思うことを教えてください

社員全員が正直であり誠実な対応をすることが大切だと考えています。我々が扱っているものは危険物であり、扱い方を間違えれば大事故に繋がってしまうものです。大事故を未然に防ぐには正直さと誠実さはかかせないことだと考えています。もちろん社員に求めるだけではなく、我々管理職も社員に対して誠実さを持った接し方をしなければいけないと思います。それと頑張った社員に対して相応に報いてあげることも必要だと思います。給与面はもちろんですが、危険なものを扱うという責任と重圧がある社員たちに余計なストレスをかけないよう配慮すること。そして現状の従業員幸福度をさらに向上させていくことで、今後の更なる安定供給とそれによってお客様へ安心を届けることに繋がると考えています。

  • 株式会社 高橋商店の経営理念

  • 災害復旧の際の取り組み一例

  • サービスステーション事業

顔が見える仕事がしたい。 異色の経歴を持つ若手のホープ

株式会社高橋商店 業務部 課長 鈴木啓一

今回、お話を伺った鈴木課長は現場を経験した上で内勤3年目を迎える業務部の課長。前職は航空機関連の内装の設計という非常に重要なお仕事をしていたという鈴木課長。株式会社高橋商店に就社した当時は、前職と全く異なる業務に向き合いながら日々経験を積んでいくという環境の変化に順応する器用な方だ。仕事に対して真剣に取り組みながらも、一方でプライベートの充実について深く考えるなど人間が生活していくうえで大切にしなければいけないことを深く理解し行動している。エネルギー産業においては異色ともいえる経歴の持ち主である鈴木課長は、高橋商店で働く自身と会社についてどういう考えをお持ちだろうか。今回は様々なスキルを会社の為に活かしながら活躍している鈴木課長にお話を伺った。

社会人になって気づいた大切なこと

入社理由

プライベートをより充実させるために

「入社理由は目的があったわけではなく特筆するような理由がないんです。」と予想外の答えを提供してくれた鈴木課長。心身ともに全力で打ち込んだ前職を退職してから漠然と何かをしなければと考えていたときに出会ったのが高橋商店だったという。以前は日々の業務に忙殺されてしまい、趣味であるスノーボードやプライベートのために充てる時間が圧倒的に足りなかったと感じた鈴木課長は、アルバイト入社からキャリアをスタートさせるという方法を選んだ。現在の就職方法としては一般的となったアルバイトからの社員登用だが、当時としてはなかなか難しい決断だっただろう。今となっては高橋商店を知ることもでき、趣味やプライベートに充てる時間も確保できるという非常に効率の良い方法であり、適切な判断だったのではないだろうか。会社のネームバリュー、事業規模、業務内容や労務環境など入社理由として、具体的に挙げられる項目は数多くあるが、企業選びの軸を趣味も含めたやりたいことの時間を確保できること、つまり、プライベートの充実が叶うこととしたのが入社理由につながったのだと考える。

やりがい

問題点を発見。改善できる喜び

「問題や課題をポジティブな気持ちで改善していけることです。問題に対していろいろな角度から考察した上での改善案を考えたとき、高橋社長は意見をしっかりと吸い上げて前向きに捉えてくださるんです。」と話す鈴木課長。現場を経験したうえで内勤になった鈴木課長から見れば現場、事務方それぞれがもつ良い部分や改善が必要な部分が他の社員より多く見えるのだろう。「以前、全社的に見たときのことなのですが、自分としては事務方に改善できる要素があると思ったことがあったんですね。改善案を作り高橋社長に改善したいと申し上げたら、それなら『業務課』として施策を行ってみたらどうかと言っていただき現在もやらせていただいてます。」と話す。会社の為に一生懸命考え抜いた改善案を社長自身にしっかり見てもらえる環境は、モチベーションの向上はもちろんのこと社員一人ひとりの生産性の向上にも効果的だ。やらなければいけないという義務感の強い改善ではなく、自らやろうと思える改善こそがやりがいに直結している。

高橋商店や自身の思い描く未来

鈴木課長の夢は高橋商店をベストな状態にすることだという。ベストな状態とは「ここを改善すれば働いている従業員が今よりももっと働きやすくなるよね。」や「こういうサービスならお客様に満足してもらえるこうしたほうがいいよね」など、社員一人ひとりが思う小さな意見を集めながら積み上げていける環境がある状態だと鈴木課長は話す。「常に進化を重ねることで少しづつ結果や成果に繋げていき、やがて大きなことができるようになっていくと思います。お店であれば店舗数を増やしたり、改装して新装開店をしたいと思いますがいきなりは難しい。達成するにはやはり小さな成果を積み重ねていくが重要だと考えています。」鈴木課長はさらにこう続けた。「会社をより良くしていかなければいけないということと、そのために成長し続けていきたいという強い思いもあります。」常に成長し続けるということは、ベストな状態という完成形が変わっていく、いうなれば終わりのない夢だ。これからの高橋商店が発展していくうえで大きな原動力になるであろう革新的な夢を伺った。

  • 災害復旧支援事業

  • サービスステーション事業でのお客様とのやりとり

  • 給油風景

エネルギーを必要としている多くの人に安心も含めた供給を

鈴木さんの得意なことを教えてください

自分自身が高橋商店に入社して得られたことは、ジャンルの異なる業務に対応できるようになったことです。例えば、入社当初は営業に対してあまり積極的ではなくどちらかと言えば苦手意識がありました。ですが営業担当と同行して営業活動を行うことで、業務内容を理解することができる。そうなると新しい業務がどんどんできるようになっていき、さらに新しいことに挑戦する意欲がわいてきます。現場では行わない請求書の管理などもできるようになりましたし、顧客対応や交渉も学びました。飛びぬけてこれができるといった特出したものがあるというよりは、様々な業務に対して比較的高いレベルで対応することができるようになりました。広い範囲の業務に対応できるというのが高橋商店に入社したことで得られた自身の強みになっていると思います。この強みが私の得意なことだと思います。

鈴木さんから見た高橋社長を教えてください

常に冷静沈着で、どのような状況でも感情をあまり表に出さない方ですね。同じようなガソリンスタンドを経営している企業が集まって行われる会合の打ち上げなどでは、お酒の席ということもありその場に合わせた振る舞いをされるのですが、基本的にプライベートと仕事をしっかりと分けて考えておられる方だという印象は強く持っています。社内にいらっしゃるときには自身の言動、行動に気をつけ、さらに責任を持った対応を意識されていると思いますね。先代の社長であり現会長とは性格というかタイプが異なっていまして、積極的にコミュニケーションをとっていた会長に比べて、高橋社長は適切な言葉を端的にお話しになるので、話している内容に対して考える意識を持たせてくれていると思っています。

社内の雰囲気やコミュニケーションの取り方について教えてください

社内の雰囲気は何でも話しあえるフレンドリーな雰囲気です。弊社は平和島と羽田に事業所がありまして、勤務の時間帯が内勤と現場では異なるため、なかなか集まってコミュニケーションを取ることが難しい状態です。内勤と現場では問題点やそれに対しての改善策に対する考え方も変わってしまいます。そのような環境下で社員全員でコミュニケーションを構築する場として、全社を挙げた社内パーティーを1年に1回開催しています。社員だけではなくその家族も参加できる高橋商店全体の交流会のようなものですね。仕事中では知ることのできない各自の良いところなどを理解することで、フレンドリーな雰囲気と強いチームワークが生まれていると思うのでとても大切なイベントだと思います。

担当者からのコメント

  • 監修企業 担当者

    この度は、取材をさせていただきましてありがとうございました。地域社会の根幹として支えていくエネルギー産業に携わることの魅力や責任感、大切にしていることを学ぶことができました。強固なチームワークを駆使して、災害の復興という重要な任務を一身に背負い、羽田の地から全国にエネルギーを供給していく高橋商店のご活躍が楽しみです。

掲載企業からのコメント

  • 株式会社高橋商店 からのコメント

    この度は取材をしていただきありがとうございました。 ガソリンスタンド業や燃料配送業について知ってもらういい機会になったと思います。時には大事故を巻き起こす可能性のある燃料ですが、真摯な気持ちで向き合う私たちの取り組みが未来の日本において今以上の豊かさを供給できると強く信じて、今後も進化を続けていきたいと考えております。これからもよろしくお願いします。

企業情報

  • 創業年(設立年)

    1963年

  • 事業内容

    ・石油製品の販売 ・不動産賃貸業 ・損害保険代理業及び保険代理業 ・自動車整備業 ・リース事業

  • 所在地

    東京都大田区羽田旭町12番5号

  • 資本金

    3,000万円

  • 従業員数

    70名(グループ総数)

  • 会社URL

    https://www.takahashi-group.co.jp/

沿革

  • 1963年 5月~2019年 7月

    1963年 5月
    株式会社高橋商店 設立

    1963年 9月
    第一営業所(羽田給油所)開設

    1974年 9月
    第二営業所(平和島給油所)開設

    2001年 5月
    お台場給油所の管理業務を受託

    2011年 3月
    埼玉県日高市に埼玉営業所開設

    2019年 7月
    有限会社小高石油を買収、有限会社から株式会社へ変更

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