日本が誇る伝統と挑戦の革新企業

取材趣旨:企業インタビュー

「英国製品といえば、渡辺産業」 渡辺産業はアパレル業界で独自の地位を築いている、英国ブランドに特化した英国専門のアパレル企業だ。中でも、職人が丁寧につくりあげたクラシックなブランドを取り扱っており、長持ちする丈夫さと流行に左右されないシンプルなデザインは、数十年経っても使い続けることのできる、まさに"人生を共にできる一品"である。その素晴らしい製品と、そこに込められた想いや価値観というストーリーをもっと多くの人に伝えたいと、既存の卸事業に加えて、2013年から直営店"BRITISH MADE"の展開を始めた。まさに今、新たなステージへ上がろうとしている渡辺産業をトップとして率いている渡辺社長に、渡辺産業が築いてきた伝統と、これからの挑戦について伺った。

  • 渡辺産業株式会社

    代表取締役渡辺鮮彦

    渡辺産業は1962年の創業以来、60年以上にわたりイギリスとの関わりを深めてきました。

    創業者の渡辺 宝がイギリスの紳士服地の取り扱いをスタートし、それをきっかけにヨーロッパの生地やレースを輸入、1980年代からはヨーロッパ製の紳士・婦人服や服飾雑貨の輸入総代理店として成長してきました。2012年に創業50周年を迎え、長年の経験と共感から、イギリスブランドに特化した、専門性の高いビジネスモデルへ転換を行いました。

    イギリスブランドはモノづくりに対する作り手の強い思いと深い愛情に溢れ、使い続けていく喜びや育てていく楽しみを通して、心を豊かに育んでくれます。そして優しく素朴で上品な佇まいは、永い人生に誇りを持って一緒に生きるパートナーとして相応しいものであると、イギリスブランドと築いてきた歴史の中で感じてきました。

    我々の想いに共感していただけるイギリスブランドとのお付き合いが広がっていくことで、さらにたくさんの素敵な出会いに恵まれました。レザーバッグ&小物のグレンロイヤル、キルティングジャケットのラベンハム、ネクタイ・シャツ・マフラーのドレイクス、レザーシューズのジョセフ チーニーやチャーチ、ニットウェアのマカラスター、そして2019年から取り扱いを開始した最高級カシミヤ・ニット製品のジョンストンズ……、それぞれが作り手の顔が見える素晴らしいブランドで、みなさんにお伝えしたいたくさんのストーリーを持っています。

    BRITISH MADE各店舗やWEBサイト、独自のイベントなどを通して、作り手の思いが込められたイギリスブランドの心温まるストーリーをこれからもみなさんにお伝えしていきます。私たちとともに働き支えてくれるイギリスの人たちやお客様、そして渡辺産業に関わるすべての人に深く感謝し、これからも笑顔の輪を広げていきたいと思います。

目次

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

社風

経営理念への共感と共有 渡辺産業の一員である条件

渡辺産業では、社員全員が経営理念に深く共感し、使命感を持って日々仕事に励んでいる。渡辺産業の経営理念には、50年以上の歴史を積み重ねてきた結果、大切にすべきであると行き着いた考え方がつめこまれており、いわば、これまでの集大成と言ってもよい。渡辺産業では、社員全員がこの経営理念についてまとめた「渡辺産業の本」を持っており、毎日読み合せをするなど、その確認を怠らない。「私達は、何か判断する時には、経営理念に基づいて考えるんです」と渡辺社長は、経営理念が浸透し、それに基づいて社員が自ら考える文化ができていることを説明する。さらに、この考え方を社員全員が共有していることで、管理部、マーケティング部、生産管理部、営業部、リテイル部、そして社長まで、部署や役職の垣根なく、経営理念実現を目指す仲間として、一致団結して仕事をすることができている。「入社する方も、この経営理念を理解することで非常に早く溶け込んでいってくださります」と渡辺社長が語るように、この経営理念への共感と共有が、渡辺産業の一員である証なのだろう。

独自性

「英国ブランドといえば、渡辺産業」信頼が支える英国専門企業

激しく変わる流行に合わせようと、大量生産で安くつくられたものばかりが出回る近年のアパレル業界。しかし、そんな時代だからこそ、クラシックな英国ブランドが扱う"人生を共にできる一品"に大きな価値がある。使えば使っただけ、色合いや使い心地などが経年変化により深みを増し、使い手に"使い続ける喜びと育てる楽しみ"を教えてくれる英国ブランドの製品は、多くの使い手を虜にする魅力を持っている。 渡辺産業はそんな英国ブランドの専門企業であり、「英国ブランドといえば渡辺産業」と言われるほど、業界では独自の地位を確立している。その秘訣は、単に英国ブランドへ特化したというだけでなく、50年以上に渡り築いてきた英国のアパレルメーカーとの強い信頼関係があり、英国の他メーカーの紹介をいただいたり、製品の企画やプロモーションを一緒に行ったり、パートナーとして強力な連携を行うことが可能となっていることにある。近年では英国商工会議所にも加盟し、さらに英国とのパートナーシップを強化し、その独自性を強固なものとしている。

展望

日本、そして世界へ― 英国ブランドをストーリーと共に広げる

使い手が使い続けることで、使い続ける喜びと育てる楽しみを味わうことができる。そんな素晴らしき英国ブランド製品を、ストーリーと共に日本へ、そして世界に広げていきたいと渡辺社長は語る。世界を見ても英国ブランドに特化した企業は珍しく、渡辺産業だからこそ実現できる想いである。 そのために、まずはBRITISH MADEを現在の4店舗から徐々に出店を進めるとともに、卸事業のさらなる強化を図る。その先に世界へ進出する夢も抱いているという渡辺社長。一方で、経営理念や事業コンセプトを崩すような、闇雲な拡大をする気は毛頭ない。地に足を付けた事業拡大をしていくことが、今後の大きなポイントとなる。「ぶれることなくやっていくことが大切です」そう語る渡辺社長の言葉の端々からは、確固たる決意と揺るぎない信念が伝わってくる。 日本、そして世界へ― 大きな旗印を立て、果敢に挑戦を続ける渡辺産業の躍進から、目が離せない。

渡辺社長に伺った、挑戦と若手へのメッセージ

なぜ、英国に特化した事業を展開するに至ったのでしょうか

事実として、いつも渡辺産業の事業活動の中心にあったのは英国でした。それは、ビジネスに対する誠実・堅実なスタンスと、長期的な視点で物事を判断する考え方が、私達と良くマッチしたからだと思います。他の国のアパレルメーカーは、1年の販売実績という短期的な視点で、契約を更新するかどうか判断することが多いのですが、英国のメーカーはそのような判断はしません。長期的にみて良い結果を出せるように、一緒にパートナーして協力しましょうという考え方なので、お互いに事業は安定し、安心して新しいことに挑戦することができます。そこで、この英国との信頼関係が私達の最も大きな財産であり、それをさらに推進していくことが、私達の成長にとって一番であると考え、英国に特化するという決断に至ったのです。

今までの挑戦の歴史と、現在の挑戦について教えてください

弊社は既に4回ビジネスモデルを転換しています。元々は英国の生地を日本のお客様に買っていただくことから始まり、代理店ビジネスや、生地の輸出ビジネス、問屋ではなくアパレルメーカーへの直販ビジネスなど、時代の変化に対応するべくビジネスモデルを転換してきました。そして近年では、英国やヨーロッパなどの靴やジャケット、コートを輸入するようになりました。さらに、現在進めている5回目のビジネスモデルの転換が、我々自身が服などの完成品をメーカーと協同企画して製造し、小売店へ販売したり、自らの直営店で販売するということです。自社ブランドを確立することができれば、より強い事業基盤がつくられ、自分達の未来を自分達で決めることができる「独立自尊」の会社になれると考えています。

これから渡辺産業で活躍していく若手人材へ、メッセージをお願いします

利益を出すということは、突き詰めていくと、社会に貢献するということですよね。弊社ができる社会貢献というのは、人生と共に歩むことができる英国の商品をご提供することで、お客様に喜びと満足を味わっていただくことです。そのためには、自ら学び人間的に成長していくことが必要不可欠です。なぜなら、人間的に問題が多い人が、お客様に心から満足していただけるようにすることは難しいからです。ですから、私のような経営者でも新卒の方も一緒で、恒に学んでいくことが必要です。そして、着実に学び成長していくために必要なことは、素直であることです。最初から自己流で走るのではなく、まずは素直に基本や型を教わり、スポンジのように吸収していく人が、どんどん成長していくことができると思います。

  • 本社外観

  • 英国工場内における製作風景

  • 東海エリア初出店となる名古屋店

"本当に良い物"を広めたい

渡辺産業株式会社 リテイル 係長 小林貴光

渡辺産業の大きな戦略の1つが、英国ブランドのみを扱う直営店"BRITISH MADE"の拡大だ。渡辺産業がこれから日本、そして世界に英国ブランドの魅力を伝えていく上で、絶対に成功させなければならない事業である。その店舗運営統括として事業を牽引するのが、今回インタビューした小林さんである。店舗出店の戦略から実際の渉外、組織づくりや人材育成まで、まさに"千両役者"として奮闘する小林さんは、「本物の良さ」にこだわり、熱き想いを胸に店舗事業を引っ張っている。今回は、そんな小林さんに渡辺産業の魅力と今後について伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

入社理由

「本物の良さを伝えたい」渡辺産業の事業と想いに共感して

前職もアパレル業界に携わり、店長として活躍していた小林さん。自分自身が服の素材や品質などにこだわりを持っていたため、お客様に提供する服も、自分が心の底から良いと思えるものでなければならないと、強い想いを持って仕事に励んでいた。 ところが、その会社の方針で、品質が決して良くはない商品であっても、ごまかすようなことを言って、お客様にお勧めしなくてはならなくなり、葛藤する日々を送っていた。そんな時に小林さんが出会ったのが、渡辺産業であった。「ここなら、表面的に格好の良いブランド物ともまた違う、"本物の良さ"というものを、服を通じて伝えることができる」と小林さんは考え、転職を決意した。前職の店長という枠を超え、店舗出店の推進から組織づくりまで、数多くの使命を背負うようになった小林さんは、「本物の良さを伝える」という想いを胸に、奮闘と充実の毎日を過ごしている。

やりがい

"本当に良い物"を、誇りを胸に、お客様へお届けする仕事

渡辺産業の社員は、自分達が心の底から「本当に良い物だ」と思える商品を扱っていること、それをお客様に伝えていけることに、大きな誇りを感じている。例えば、営業職では、日本と英国を行き来し、工場を視察したり、企画職の人間と一緒に打合せをする中で、「これは本当に良い物だ!」と自分で見出したものを、日本の店舗で取り扱ってもらえるように小売店などに何度も足を運んで提案し、苦労の末に店頭に並んだ商品が、お客様に支持されて売れていったときの喜びは格別である。これだけ頑張れるのも、自分が本当に良い物だと感じている物を扱えるからこそだろう。そして、自分が関わった商品をとても気に入って、使い込んだ物を「まだ使いたいので直してください」と問い合わせするお客様も数多くいるのだ。「そんなお客様とお会いできた時は、こういう商品を扱っていて良かったと心から思います」と嬉しそうに語る小林さんの表情が、言葉以上に渡辺産業で働く充実感を物語っている。

「良い物を大切に使う」価値観を広げるための店舗戦略

「良い物を大切に使うという考え方を、質実剛健な英国製品を通じて、日本に、そして世界に伝えていくことが、僕らの使命だと考えています」と語る小林さん。製品の良さや価値観をお客様に直接伝えることができる直営店事業を伸ばすという渡辺産業の戦略において、その中核を担っている小林さんにかかる期待は大きい。小林さんはその責務を果たすために、渡辺産業の理念や価値観に共感し、会社や店舗の未来を担える人材を育てていくための教育体制を整備したり、製品の品質だけでなく「良い物を大切に永く使う」というBRITISH MADEのコンセプトに共感してくれるファンをもっともっと増やしていくために、世の中へBRITISH MADEの魅力を発信できる環境をつくっている。「今の取組みを続ければ必ず成功できると考えています」と力強く語る小林さん。その目線は、地に足をつけながらも、真っ直ぐに先の未来を見据えていた。

  • BRITISH MADE 青山本店

  • 英国グレンロイヤルの革製品

  • ワークショップの様子

小林さんに伺った仕事内容、組織づくり、若手へのメッセージ

小林さんの仕事内容を教えてください

渡辺産業には元々、英国製品をセレクトショップ、百貨店、小売店などへ卸す営業職として入社しました。前職で経験していた、店舗でエンドユーザー様へ直接販売するリテイル職とは勝手が違って、結構苦労しました。けれど、最初の1年くらいで慣れてきて、販売戦略をしっかり考えて行動するということができるようになってきましたね。そして現在は、前職の店長職や、渡辺産業での営業職の経験を生かして、直営店事業の統括という仕事をさせていただいております。国内の展示会視察や、他社様とのコラボレーション企画立案、出店の渉外など、業務は幅広いです。また、組織づくりも私の重要な仕事です。これから店舗出店を加速させていくにあたり、より力を入れて取り組んでいます。

現在力を入れている"組織づくり"について教えてください

これから世の中に打って出ていくためには、やはり組織力を高めていくことが必要不可欠だと考えています。上が何でもすべてやって、下は言われたことをただやるだけだと、強い組織にはなりません。全員で力を合わせて会社や店舗を盛り上げていかないといけないですね。また、強い組織をつくるためには、人材の力も非常に大切になってきます。上の立場の人間が、下の人間をしっかり育てるという文化ができているので、教育制度をもっとブラッシュアップすることにより、さらに人が育つ会社にしていきたいですね。それは弊社代表の渡辺も強く感じているところで、教育の部分については、私も含めて外部の研修を受けさせてくれたりなど、お金をきちんと投資してくれているので、とても感謝しています。

これから入社する若手人材に対するメッセージをお願い致します

渡辺産業という会社は、それぞれの社員が目的目標を持って、それに向かって成長する環境を提供できる会社だと思っています。私自身、大学時代に抱いていた「良い物を広めていきたい」という想いを、この会社で実現できています。また、社長と直接コミュニケーションを取ることができる機会も多いですし、風通しも良い会社なので、伸び伸びと自分らしく働くことができると思います。これから店舗も増えていくので、定期的に人材を採用していきたいと考えていますが、どんな人材が欲しいかというと、一緒に理念実現のために頑張れる仲間として働きたいと考えているので、やはり、渡辺産業の理念に共感してくれる方に是非来ていただきたいですね。

担当者からのコメント

  • 監修企業 担当者

    今回の取材を通じて、渡辺産業様が理念を心から大切にされていることを感じました。 そして、渡辺社長も小林様も、強い信念を持って、仕事に臨まれており、私自身とても学ばせていただくことが多い取材となりました。 英国ブランドを通じて、日本や世界へ、「物を永く大切に使う」価値観を広げていただきたいと思います。

掲載企業からのコメント

  • 渡辺産業株式会社 からのコメント

    私たちもとても貴重な時間を持たせていただきました。 皆様とお話しする事で、私たち自身が理念を別の視点から考える良い機会となりました。

企業情報

  • 創業年(設立年)

    1962年

  • 事業内容

    ◇輸入及び総代理店業務 ◇英国製の服飾雑貨および革小物・靴・バッグの卸 ◇直営店【BRITISH MADE】の実店舗及びWEBショップの運営

  • 所在地

    東京都港区南青山5-14-1 グリーンビル1.2F

  • 資本金

    2,000万円

  • 従業員数

    68名

  • 会社URL

    https://watanabe-int.co.jp/

沿革

  • 1962年~1998年

    1962年
    8月17日、渡辺宝(35歳)と長島基一(26歳)により、
    ヨーロッパ製紳士服地輸入の目的で創業

    1970年
    ヨーロッパ紳士服地メーカーの日本国内総代理店業務開始

    1975年
    フランス、スイス、イギリス製婦人用レースの輸入開始

    1976年
    婦人用レースメーカーの日本国内総代理店業務開始

    1981年
    国内生産の生地及びレースの輸出開始

    1986年
    輸入生地、レースのアパレルメーカーへの直接販売開始

    1998年
    東京都港区南青山5丁目14番1号に自社ビル(現オフィス)

  • 2000年~2015年

    2000年 7月
    現リテールビジネスの前身「TAMPICO EN FRANCE」を本社1階にオープン

    2005年 3月
    隣地に自社ビル(現青山本店)竣工

    2013年 3月
    屋号を「DECENTAGES」から「BRITISH MADE」とし、
    青山店、丸の内店、オンラインショップをリニューアルオープン

    2013年 4月
    グランフロント大阪に「BRITISH MADE大阪店」オープン

    2015年 3月
    ラシック名古屋に「BRITISH MADE名古屋店」オープン予定

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