日本が誇る伝統と挑戦の革新企業

取材趣旨:企業インタビュー

今回お話を伺ったのは、千葉県市原市にあるみどり産業株式会社だ。一般・産業廃棄物収集運搬及び中間処分業をという社会のインフラの事業で自社工場を持ち、収集・運搬、処理、再生を社内で一貫してできる点が強みである。また、同社は独自のルート網を生かして少量の廃品や特殊な廃棄物も低コストで回収するなど、顧客に寄り添ったサービスを展開するとともに、処理過程で作られるたい肥を使用して自社栽培したケールなどを販売するなど、廃棄物の回収・リサイクルのみならず、循環型社会にチャレンジし続けている点が特徴である。同社の二代目として会社を継ぎ、時代・社会の変化に合わせ100年企業を目指すため、改革を進めているという津根社長の想いに迫る。

  • みどり産業株式会社

    代表取締役津根頼行

    環境に携わる仕事を四十七年間続けてきた会社です。
    今まではあまり注目されなかった業界ですが、 今はとても関心を持たれるようになりました。
    我が社はずっとリサイクル、循環型社会を目指していろいろな事にチャレンジしております。
    常に人も会社も変化と成長を心がけて様々な活動をしています。

目次

伝統の挑戦と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

社風

社員がやりたいことをやれる会社

「最近は社員が自ら企画をもってくる」と嬉しそうに話す津根社長。良い企画には即決するので、社員から「本当にやっていいんですか?」と言われることもある。津根社長の考える「従業員ファースト」とは、自分がいなくても、良い形で会社が成長し続けることだ。そのため、社員を信じて会社の情報を提供し、どんどん仕事を任せるようにしながら今の文化を創ったという。

ただし、これは自然発生したものではなく、就任当初はいろんな形で風土を改めようとしても「何やっているんだこの人」「社長がやればいい」「社長、そんなことは無駄ですよ」などの声も多く、まず自らが変わり、絶対に「断らない!」という信念を持って人とのコミュニケーションを変えたことで、ようやく少しづつ賛同者が出てきた。

最近では、現場の社員が人事部が必要だと名乗りでて評価制度や教育制度の変更を提案し、社員自身が仕組みづくりを行い運用している。また「リーダー10か条」という行動指針のリニューアルなど、良い社風の明文化・浸透も進めている。

独自性

顧客に寄り添うサービスを提供

現場で柔軟に対応できるサービスの質の高さがみどり産業の強みである。処理困難物や少量の産業廃棄物回収など、一般的に利益を上げづらく同業他社があまり参入しない事業であっても、ルート回収によってビジネス成り立たせているため、顧客にとって頼れる存在である。
また、営業もドライバーもできるセールスドライバーの存在によって、顧客に寄り添った業務が実現できている。ドライバーとして現地に訪問した際に、その場で気づいたことやお客様の声に、すぐ改善策を考えて提案することができ、スピーディーな対応が実を結んでいる。
これらが実現できている要因は、自社工場を有することで収集から廃棄物の処理まで一貫してできること、長年積み重ねてきたノウハウがあることがあげられる。より安くより質の高いサービスを提供できる自社の仕組みを活かし「同業者にも自社の技術を活用してもらい、共存共栄していきたい」と津根社長は業界全体の発展へも意気込んでいる。

展望

売上を2倍にし、社員に優しい会社をつくる

「現在の売上を約2倍にし、年商50億の会社を目指しています」と津根社長は言う。長年積み重ねてきたノウハウを生かし、類似の事業を始めることで、会社のさらなる拡大を考えている。例えば、RPF(一般・産業系廃棄物のうちマテリアルリサイクルが困難な古紙及び廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料)を作る工場を新たに導入するなど、廃棄物に関わる事業を拡大していく構想だ。「こうやって事業を拡大させ、利益を増やすことで、社員にもっと還元できる会社を作り上げられる」と津根社長は話す。また、自身が引退するまでに「価格変動に左右されず、自社がコントロールできる事業を強めたい」をいう。相場や市場価格で利益が変動する状態から、多岐にわたる事業の中でも価格帯をリードできる領域を広げ、収益を適正に確保できるような会社にしていくことが今の自分の使命だという。
地域に根付き、業界全体の発展に貢献している同社だからこそ実現できる展望だ。

新しい文化を作り上げてきた二代目社長

事業承継について教えてください

小学生の頃からみどり産業を継ぐことを考えていました。2人の弟は恥ずかしがって嫌がる中、私は学校が休みの日は朝4時に起床し、父(当時は社長)の助手席に乗り、仕事の手伝いをしていました。ただ、すぐみどり産業に就職したわけではなく、最初は菓子店の運送、それから同業の会社で働き、修行を積んでからみどり産業に入りました。実は2人の弟がもし自分がやりたい!といえば、自分は他のことをしようとも考えていました。でも結果として私が社長になり、3兄弟皆入社しましたね(笑)。
先代は感覚で商売をするタイプで、私の入社後、管理や経営の仕事について教わることもなく、社長就任時は苦労した記憶があります。とにかく会社をより良くするために、まずは自己変革を起こし、それから会社の変革を起こしたことで、今の社風に変わっていったと思います。

社長が大切にしている価値観を教えてください

「断らない」を自分ルールとして仕事に臨んでいます。これは、事業承継時に苦労し、まずは自分を変えないといけないと思った時に作ったものです。当時の私はあまり外交的ではなく、誘いには乗らないタイプで、仕事においても新しい提案に対しては消極的でした。
そんな自分を変えようと思い「断らない」ことを意識していた時、次男の統括部長から勧められた外部の講習会に参加し、当時の講師から自分の悩みに対して「答えはない、自分の中に持っている」という言葉を聞き、意識が変わりました。「断らない」というルールは自分自身が変われるきっかけを得られたこともあり、今でもずっと守っています。これは社員の自主性を生むことにもつながっていっていますね。最近は「あの人なら聞いてくれそうだな!」と考えるようでいろんな提案が上がってくるようになりました。

人材育成に関して大切にしていることを教えてください

みどり産業は自分(社長)の会社ではなく、みんなの会社だと思っています。そのため、社員が主体性を発揮できることを大切にしております。例えば、毎月実施している「課長塾」「部長塾」という勉強会があり、これは社員が講師を務め、テーマも自分で考え、課長や部長を目指している社員のお互いの学びの場にしています。最初は皆嫌がるかと思いましたが、実際は逆で「私も出たいです」という社員もでてきました。自分で調べて学んだことは、誰かに伝えたくなるので、このことが社内の活性化につながっていると思っています。
他では、営業も回収もできるセールスドライバーを育成しています。ドライバーの回収業務はかなり体力を使う仕事で、はじめは体力が落ちてきた社員も営業という仕事がある、というキャリアの目的でしたが、社員からこの活動は若い人も取り組むべきだ、という意見もあり、チームとなりました。
本当に最近ですが、このような育成の活動に対して社員が自ら企画を起こし、新しい仕組みや事業が生まれるようになりました。昨年は過去最高益を更新でき、社員の成長が会社の成長の繋がっていると実感しています。

  • ビジョンを共有する方針説明会

  • 市原を中心に、千葉、成田、長柄に拠点を持つ

  • 循環型社会の実現に向けたビジネスモデル

みどり産業の新たな可能性を 切り開き続ける課長

みどり産業株式会社 業務部課長 佐藤史都

現在は業務課課長として、常にチャレンジを続けている佐藤様。みどり産業で20年というベテランだが、実は同社へ2度入社するという経験を持つ。最初の入社からドライバーや車両コースの管理業務を経て、営業課の立ち上げなどを経験し、将来を期待されたが事情があり退職した。そして2度目の入社時、もう一度スタートラインに立つ覚悟と高い意識・行動により、最速で課長に就任し、みどり産業の未来を担う人材として日々仕事に励んでいる。みどり産業を深く理解し、先頭を走り続けている佐藤様から「みどり産業らしさとは何か」について伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

入社理由

偶然の出会いと強い想いがみどり産業で働くことにつながった

同社に2度入社たという佐藤様。1度目の入社は21歳の時だ。新卒で入社した企業が紳士服業界の大手企業で、その後老人ホームに転職し、その老人ホームでの同社を知り、その出会いがみどり産業の入社につながったという。 入社後は、ドライバーや管理業務を経て、業務部に営業課を立ち上げるなど、様々な分野において活躍した。当時の今のような会社風土が少なく、頑張っても浮いてしまう空気があり、退職を決意した。 その後、大手警備会社へ転職したが、折々でみどり産業を思い出し、ずっと忘れられなかったという。そして、社外にいたからこそ、改めてみどり産業の魅力に気づくことができ、再度入社するため、社長(当時常務)に「もう一度チャンスをいただけないか」と直談判する。再スタートに当たって、特別な待遇は一切なかった。それでもいい、自分を信じて認めてくれた会社のために、全力で頑張ると腹を決め、結果として異例のスピードで成長し、今では、経営層に次ぐポジションにつき、将来のみどり産業のキーマンとして活躍している。

やりがい

自分の強みをお客様目線で生かす

「お客さまから『ありがとう』の言葉をいただけた時が一番うれしい」と話す佐藤様。その要素が2つあり、1つ目がセールスドライバーという運転だけではなく営業もできるドライバーとして仕事をできていること。かつてはどんぶり勘定だった処理コストの積算や廃棄物置き場の景観を考えた提案とともに、ときには自社で解決できないお客様困りごとを代わりに別会社に依頼をしたりするなど、常にお客様のことを考えた対応で強い信頼を築いている。2つ目は、自社工場があるため、総合提案ができること。自社で処理できる範囲が広く、さまざまな要望に応えることが可能で、他社が断る業務も受けられる点はお客様からの感謝につながっているという。 このように強みを生かし、お客様が心の底からみどり産業の価値を感じていただけるサービスを生み出す瞬間こそが、佐藤様のやりがいだ。

みどり産業のキーマンとして生きる

「『みどり産業と言えば佐藤』と言われる存在になりたい」と力強く話す佐藤様。同族経営の歴史がある同社での中で、佐藤様は課長としてもっとも高い役職にいる1人である。そんな佐藤様は「創業以来自分が初めての成り上がり部長になり、会社の番頭的な存在になりたい」と話す。 具体的に将来を見据えて自分のポストを描き、事業についても「みどり産業に任せれば何でもできる」と言われるような会社づくりを目指し、現在自社では処理できない品目も将来的に対応できるための構想を持っている。 そして会社の業績の拡大だけではなく、社長の考えでもある従業員ファーストという視点も大切にしていきたいという。ドライバーや従業員が休憩しやすいような事務所にすることや、会社のHP改良やポロシャツ作成などを通じて「社員が誇りを持てる会社」することにも積極的だ。 こうして自分たちが実践する一つひとつの結果が、みどり産業を良い会社に変化させている、という新しい文化をリードしている。

  • デザインパッカー車、新ロゴポロシャツは 社員の声から生まれた

  • 環境イベントで大人気の自社栽培“ケール”を使用したパン

  • 現場のチームワークもみどり産業の強み

社員から見たみどり産業の魅力

ご自身から見た社長や会長(前社長)の印象を教えてください

今の社長と会長は対照的ですね。会長はカリスマ的存在で、トップダウンで会社を引っ張っていく存在でした。反対に、現社長は一歩引いて社員の主体性に任せていますね。「何事も自分たちでやってみてほしい。みんなの会社だから」とよく言われます。この考え方は現代ならではのものだとも感じますね。でも、今の社長は以前とは、だいぶ印象が異なるんですよ。私は20年以上前からみどり産業に関わっているからこそ、社長が自らチャレンジして、変化してきた部分がとてもよくわかります。やはり、二代目として人知れず苦労したことはあったと思います。
最近の社長は本当に「やりたいならやってみろ!」と前向きに社員に言ってくれますし、そのおかげで少しづつ社員が自発的にチャレンジする文化が生まれてきていますね。
2度入社していますが、今は、本当にいつも会社や社員のことを第一に考えている社長のもとで働けることが幸せです。

みどり産業の魅力を教えてください

自発的な取り組みが多いことが自社の特徴だと思います。社長からは「失敗を恐れずにチャレンジしろ」といつも言われます。何かやりたいことを提案したら、なんでもやらせてくれる社長なので、今の社長のもとで実現したことがたくさんあります。
私が「営業もできるセールスドライバーを育成したい」と言ったことで、そのような役職が実現されたことが1つの例ですね。他にも、自社で処理したたい肥を活用してケールを栽培する『リベジ』という事業や、現場の社員が発端で人事部の立ち上げが実現するなど社員の自発的な取り組みが社員のやりがいになっています。
また、現場でお客様と関わっている社員の提案が実現することで、よりお客様視点のサービスを提供でき、お客様からの感謝も増えていますね。

人材育成について教えてください

サービスの質の向上のために、学ぶ機会があることは本当に価値あると感じています。
課長塾が例に挙げられますね。課長を目指す人向けに月1回、勉強会とディスカッションの機会を設けています。自由参加であるにもかかわらず、毎回15名近くが参加するなど、積極的な姿勢を感じられます。三方よしの経営や、他者の好事例などがテーマに上がるなど、社員が持ち回りで仕事に生かせる内容の資料を用意し、みどり産業ではどのように生かすのかを考える時間にしています。
また、毎月1本の動画を作成し、その内容を見た感想を提出するという仕組みも設け、セールスドライバーのレベルアップをすることによって、業績の向上につなげていこうと考えています。

担当者からのコメント

  • 監修企業 担当者

    この度は、取材のご協力を賜り、誠にありがとうございました。
    社長をはじめ、社員の方たちの“自分たちで自分たちの会社を良くしていこう!”という思いが伝わってきました。
    100年企業に向けて、ますます進化していく皆さんのご活躍を楽しみにしております。

掲載企業からのコメント

  • みどり産業株式会社 からのコメント

    今回の取材で、今まで取り組んできたことやこれから目指していくものを整理できました。リーダーたちもまだ若く、まだまだ勉強中ですが、目標に向かって全員が成長できる会社づくりをしていきます。環境事業はまだまだ成長していきますので、私たちの活動に皆さんが関心を持っていただければ嬉しいです。

企業情報

  • 創業年(設立年)

    1977年

  • 事業内容

    各種リサイクル
    一般廃棄物
    産業廃棄物収集運搬及び中間処分業

  • 所在地

    千葉県市原市五井9093-3番地

  • 資本金

    1,000万円

  • 従業員数

    190名(パート含む)

  • 会社URL

    https://www.midori-sangyou.co.jp/

沿革

  • 1977年10月4日~1997年8月21日

    1977.10.4
    みどり産業株式会社を設立、資本金300万円

    1985.8.14
    資本金を増資し、500万円とする

    1994.2.20
    千葉営業所開設

    1994.7.25
    本社リサイクル工場設置(ビン・缶再生工場)

    1995.12.7
    資本金を増資し、1,000万円とする

    1997.8.21
    千葉工場設置(焼却・乾燥・破砕・固形燃料化及び減容固化による産業廃棄物中間処理)

  • 2001年5月1日~2019年10月07日

    1977.10.4
    みどり産業株式会社を設立、資本金300万円

    1985.8.14
    資本金を増資し、500万円とする

    1994.2.20
    千葉営業所開設

    1994.7.25
    本社リサイクル工場設置(ビン・缶再生工場)

    1995.12.7
    資本金を増資し、1,000万円とする

    1997.8.21
    千葉工場設置(焼却・乾燥・破砕・固形燃料化及び減容固化による産業廃棄物中間処理)

    2001.5.1
    成田支店開設(M&Aによる事業エリアの拡大)

    2001.5.19
    大多喜営業所開設

    2002.6.20
    長柄工場設置(発酵による一般廃棄物・産業廃棄物中間処理施設)

    2009.10.13
    千葉工場焼却部門廃止(リサイクル事業への推進のため)

    2010.8.13
    現千葉工場を総合リサイクル施設としてリニューアルに伴い、新事業及び本社リサイクル工場代替施設立ち上げ
    【新事業】
    ・フラフ燃料化(破砕・圧縮)施設
    ・蛍光管中間処理施設
    【代替施設】
    ビン・缶+ペットボトル再生工場新設及び処理能力の拡大化

    2015.3.31
    津根頼行 代表取締役就任

    2018.5.26~27
    環境イベントを主催 市原市内商業施設に出展
    ・初代デザインパッカー車をお披露目

    2019.5
    農事業の拡大(ハウス14棟体制 2268㎡)

    2019.10.07
    ブランディング室立ち上げ

  • 2020年6月28日~2021年6月23日

    2020.06.28
    HP、ロゴリニューアル

    2020.7.15
    成田支店 事務所リニューアル

    2020.8.27
    カリーノケール商品開発のキックオフ

    2021.3.16
    みどり工房製造 “カリーノケール” 発売

    2021.5.13
    千葉営業所 事務所リニューアル

    2021.6.01
    新ロゴへ移行、パッカー車、ユニフォームのデザイン変更

    2021.6.23
    五井切断施設(51yard)設置

取材趣旨:企業インタビュー

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