取材趣旨:企業インタビュー
日本最大の山脈“富士山”のふもと、山梨県の鳴沢村に本社を構え、まじめにモノづくりに取り組む社員が多く集まるコミヤマエレクトロン株式会社。真空技術を活かして、医療分野、半導体分野、さらには宇宙航空分野まで幅広い分野で活躍している。創業当初は、副社長である橋口氏と装置の組立を中心に事業を展開。徐々に仕事量も増え、技術力も高まりチャレンジをしてきた結果、発展を遂げてきた。「ここまで発展してこれたのは、優秀な社員の存在と新しいチャレンジがあったからだ」と創業者であり、現社長の渡邊明雄氏は力強く語った。そんな渡邊社長にコミヤマエレクトロンの歴史と今後の展望を伺った。
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コミヤマエレクトロン株式会社
代表取締役渡邊 明雄
我々は我々の幸せのため広く社会の発展のため日に日に発展することに正義と勇気と信念とを持って
誰よりも積極的に努力します。
コミヤマエレクトロン株式会社全員が、常にこの理念のもと、業務に取り組みます。
地域経済の中心的牽引企業として、より一層精進努力します。
目次
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
まじめにモノづくりに取り組む企業として
「コミヤマエレクトロンはまじめにモノづくりに取り組む企業です」と開口一番渡邊社長は語る。その言葉には同社が38年間積み重ねてきた歴史が力強く込められた。その歴史の中で「地域社会に貢献すること」「お客様から信頼されること」「社員が働きやすい会社になること」の3つを大切にしてきた同社。具体的には、地域社会に貢献するために、地元鳴沢村の地域清掃への参加や子供たちと触れ合う機会を設けるなど、積極的に地域との接点を持つようにしてきた。また、お客様から信頼されるために、渡邉社長は「お客様から依頼されたことは必ず形にしてきた」と語るように、お客様の思いを形にすることで圧倒的な信頼を得てきた。社員が働きやすい会社にするために社内で挨拶訓練などを行い、働きやすい会社の雰囲気づくりに努めてきた。これらをコツコツと38年間積み上げてきたからこそ「まじめにモノづくりに取り組む」という社風が作り上げられた。これからもこの社風をしっかりと引き継いでいくことを目標としている。
コミヤマエレクトロンに集まる“ヒト”
コミヤマエレクトロンの独自性は“ヒト”にある。渡邊社長のもとに集まり、団結してきた社員一人ひとりがコミヤマエレクトロンの主役である。そんな主役たちは高い技術力と何にでも積極的に取り組むチャレンジ精神を持ち合わせ、さまざまな分野に対して高難度と言われてきた製品を形にしてきた。「コミヤマエレクトロンの働きやすい雰囲気がなんでも言い合える環境を生み、たくさんのアイデアを生んでいます。高い技術力や発想力は私たちの特徴です」と社員に対して自信を持つ渡邊社長。その言葉通り同社は設備よりも人財にお金をかけている。社員の技術力と発想力で高難度の製品をつくり、さまざまな分野に展開しているのだ。その実力は大手自動車メーカーのトヨタの社長から該社の表彰の中で最も権威のあると言われる技術開発賞を受賞するほどにある。高い技術力と発想力を持ち合わせた社員一人ひとりがチャレンジし続けることこそが同社の最大の独自性である。
真空技術を汎用させ、新しいチャレンジへ
「つねに無限の可能性に挑戦し続けていきたいと考えています」と今後も挑戦を続けていくことを意気込む渡邊社長。今後はより真空技術を極めて、新しい製品へチャレンジしていき、自慢の真空技術をさまざまな製品に汎用させることを展望に掲げる。「我々は地域社会のために価値創造することを努力する」と理念を掲げ、突き進む同社はチャレンジを止めない。これまで真空技術を活かし、最先端ガン治療である重粒子線治療にも使用されている真空装置を開発するなど確かな実績を持つ同社。その中で「今後はより間口を広げて、さまざまな分野に真空技術を活かしていきたい」と未来の道筋を語る渡邊社長。医療分野はもちろん、航空宇宙分野へも積極的にチャレンジしている。地域社会に貢献し続けるためにも、つねに無限の可能性に挑戦し続ける同社は世の中に必要不可欠な企業として歩みを止めないだろう。
コミヤマエレクトロンが大事にしているもの
経営しているうえで大切にしていることを教えてください
”ヒトは宝”ということを重要にしながら経営を行っています。”企業は人なり”と松下幸之助の言葉にもありますが、その通りだと思っています。そのため、社員の育成や働く環境の整備には力を入れて取り組んでいます。その中でも効果がてきめんだった取り組みは挨拶訓練になります。挨拶訓練とは、徹底して挨拶をするというものです。とてもシンプルな取り組みですが、全社で行うことで社員同士のコミュニケーションが円滑になり、多くの笑顔が生まれるようになりました。コミュニケーションは仕事の基本だと改めて感じました。コミュニケーションがあることで新たなアイデアも生まれています。そのおかげもあり、今期の売上は過去最高益を記録することができました。そんな社員一人ひとりが宝であり、コミヤマエレクトロンに欠かせない存在です。
渡邊社長が考える人づくりのポイントを教えてください
私はどんな人でもやる気があれば何でもできると考えています。そのため、私の仕事は社員一人ひとりがやる気を持てるような社内環境をつくることや、高いモチベーションを維持できるように働きかけすることだと考えています。例えば、誰かから指示を受けてやる仕事と自発的にやる仕事では、どちらの方が社員がモチベーション高く仕事に取り組むことができるかは明白だと思います。ただただ、社員の技術を高めることだけにフォーカスして経営してはいけません。社員が高いモチベーションを持ち、仕事に対して誇りを持てる会社でなければすぐに退職してしまうでしょう。社員の技術を高めることも大事ですが、それよりもやる気を高めることで会社としてさらに成長できます。
今後のコミヤマエレクトロンで重要になることを教えてください
日本、海外を問わず、やる気のある若手社員を採用し、育成に注力していきたいと考えています。若い世代の考え方や発想力はとても貴重なものになります。また、ベテラン社員が多いコミヤマエレクトロンにとって、次世代にも続く会社にしていくためには若手社員の成長が求められます。そのために高い技術と経験を持ったベテラン社員のノウハウを若い世代に棚卸しをしていくことが求められます。若い世代はやる気があればなんだってできます。そんな大きな可能性を持った社員が活躍できるような環境つくりに尽力していきたいと思います。
社員一人ひとりがまじめにモノづくりに 取り組み高い技術力と発想力をもつ
地元・鳴沢村の子供たちと触れ合い、 地域に貢献する
高いモチベーションで仕事に打ち込んでいる
コミヤマエレクトロンの すべてを知る レジェンドと 今後を担う ニューリーダー

コミヤマエレクトロン株式会社 副社長 橋口春雄様 専務取締役 渡邊伸悟様
自然豊かな鳴沢村はアウトドアが好きな人には絶好な環境である。本社も自然に囲まれており、疲れた時には澄んだ空気と、一面に広がる大自然に心を落ち着かせる。今回お話を伺ったのは、渡邊社長から絶大な信頼を寄せられている橋口副社長と渡邊専務の2名だ。「仕事に関して、すべてを任せている」と渡邊社長から信頼され、コミヤマエレクトロンを体現してきた。橋口副社長、渡邊専務は「人類の進歩に寄与できる仕事」と同社の仕事を表現し、日々会社を進化させている。そんなお二人の人生の中心にはコミヤマエレクトロンが欠かせない存在としてある。今回の取材ではコミヤマエレクトロンを引っ張るお二人にお話を伺った。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
コミヤマエレクトロンに運命づけられたお二人
おニ人のコミヤマエレクトロンへの入社は運命づけられていた。コミヤマエレクトロンの創業から渡邊社長とともに会社を創り上げてきた橋口副社長。学校卒業後に、コミヤマエレクトロンの前身であるコミヤマ電器に入社を決めた。「会社の歯車の一部になるのではなく、会社を引っ張る存在になりたい」という気持ちを持っていた。入社後に渡邊社長から「コミヤマエレクトロンで一緒に働かないか」と誘われ、同社を立ち上げた経緯を持つ。そんな橋口副社長とは異なる経緯を持つ渡邊専務。小さい頃から父親である渡邊社長の背中を見てきた渡邊専務は「いつかコミヤマエレクトロンで働き、地元のために力になりたい」と幼少の頃から考えていたという。その思いを抱きながら、大学卒業後は東京の大手半導体メーカーに入社し、そこで6年間自分の力を磨いてきた。その後、同社に入社を決めた渡邊専務は会社を引っ張る若きリーダーとして成長を遂げている。お二人の人生にコミヤマエレクトロンは必要不可欠であるとともに、コミヤマエレクトロンにとってもお二人の存在は必要不可欠である。
世の中のために常に挑戦を続けていくこと
コミヤマエレクトロンを引っ張るお二人は同じことを思う。それは「世の中のためになる製品を手掛けること」を仕事のやりがいにしていることだ。「最先端のテクノロジーに携わり、人類の進化に寄与することができる」と語るお二人の目は少年のように輝いていた。同社が手掛ける製品や技術は間違いなく人類の進化を支えている。テレビやスマートフォンの液晶画面が市場に出回る以前から有機ELなどを製作していたことや、直近では、真空技術を活かし、最先端ガン治療の粒子線治療に使用される真空装置の一部を手掛けるなど、人類の進化に寄与する高難度な製品を実現させている同社。「高難度な製品をつくるためには多くの挑戦があった」とお二人から言葉があるように、挑戦の風土が同社の功績をつくりだしてきた。「今後はより一層医療、航空・宇宙分野にも積極的に取り組んでいきたい」という言葉から、同社がこれからも世の中を良くする挑戦を続けていくであろうことが伺える。
未来永劫、地域・社会から必要とされる会社へ
「未来永劫、世の中の発展を支え続ける会社でありたい」とお二人のどちらの口からも語られた。「日本には500年続いている企業もあり、そんな会社のように未来に残していけるようにしていきたい」そう語るのは橋口副社長。その中で、未来永劫続く企業への思いを渡邊専務に伺うと、「長く続けるためには地域のみなさんに認められ、社会的責任を果たすことが求められる。それができて初めて会社は長続きする。今後はさまざまな分野に取り組み、より社会に貢献していきたい」と地域・社会に貢献するということに重きを置き、夢の達成のため、新たな挑戦を決意する。既にこのような取り組みは花が咲き始めている。燃料電池自動車の燃料電池の製造において、トヨタから表彰を受けるなど、新分野への挑戦が目に見える形で、評価され始めている同社。「近い将来、火星が取引先になるかもしれない」と笑いながら話す渡邊専務を見ていると、進化を続けるコミヤマエレクトロンにその日が来るのは近いかもしれないと感じる。
鳴沢村の大自然に囲まれる本社
真空技術のプロフェッショナルとして 高い専門性を誇る
さまざまな可能性をもつコミヤマエレクトロンの真空技術
レジェンドとニューリーダーが語るコミヤマエレクトロン
お二人から見た渡邊社長について教えてください
[橋口副社長]とにかく人間としての器が大きいと感じます。腹が座っていると言いますか、細かいことは気にしない人ですね。数十年一緒に仕事をしていますが、ネガティブな姿を見たことがないです。そんな求心力のある渡邊社長とバランスを取り合いながら、会社を引っ張っています。
[渡邊専務]とにかくポジティブな人です。そんな渡邊社長の周りには自然と人が集まり、新しいものが次々に生まれます。渡邊社長の人生論として「苦しい時ほどポジティブに思え、良い時ほど慎重になれ」という言葉があります。常にポジティブにふるまい、周りを巻き込む姿は見習うべきところが多くあります。
コミヤマエレクトロンはどんな人材を求めていますか
[橋口副社長]積極性がある人と一緒に働きたいと考えています。自分の将来をしっかりと考えて仕事に取り組める人が良いですね。会社の歯車の一部として働くのではなく、自分から発信して会社を動かしていけるような人材を求めています。そこに経験を問うことはありません。
技術は入社してからでないと身に着けられないものもありますし、経験も重要になってきます。いち早く活躍するためには積極的に仕事に取り組むことが重要です。
[渡邊専務]礼儀正しい人材が必要だと思います。会社という組織で働くうえで、必ずチームワークが求められます。その中でもコミヤマエレクトロンはチームワークを発揮する仕事が多いので、仕事を円滑に行う上でも礼儀正しさは重要です。特に挨拶はとても重要になります。礼儀正しく、積極的に仕事に取り組める人とともに働きたいです。
仕事をする上で大事にしていることを教えてください
[橋口副社長]優秀な若手社員を採用し、しっかりと育てていきたいと考えています。
コミヤマエレクトロンが次世代に続く企業になるためには若手社員の技術力や発想力が重要になります。社員一人ひとりが世の中のためになる人材になるような教育に注力していきたいです。
[渡邊専務]利他の精神を持って仕事に取り組むことを大事にしています。利他の精神を持つことでお客様からの信頼を得ることができます。これは渡邊社長からもよく言わることなのですが、我々も企業として、利益を出すために必死にならなくてはいけません。その中で、常にお客様にとって何が最適なのかを追求することで三方よしの状態で仕事を進めることができるようになり、より大きな成果を上げることができます。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
今回は取材のご協力いただき誠にありがとうございました。
真空技術をはじめ高難度の技術を持つコミヤマエレクトロンの取り組みを伺い、
大変感銘を受けました。
再来年には創業から40周年を迎え、さらなる発展を遂げていくコミヤマエレクトロンに注目です!
掲載企業からのコメント
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コミヤマエレクトロン株式会社 からのコメント
今回は取材のご機会をいただきありがとうございました。 時代の最先端をゆくZOOMを用いた取材は初めての取り組みであったため、とても新鮮でした。今後もコミヤマエレクトロンはつねに挑戦を続け、未来に続く会社として発展していきます。
企業情報
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創業年(設立年)
1983年
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事業内容
真空装置製造・加速器関連
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所在地
山梨県南都留郡鳴沢村2278
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資本金
1,000万円
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従業員数
93名
- 会社URL
沿革
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昭和58年~昭和60年
昭和58年12月
コミヤマエレクトロン株式会社として設立
昭和60年2月
マシニングセンターを導入 -
平成1年~平成24年
平成1年
現住所地工場を拡張し、クリーンルームを新設
平成2年
部品製造工場を増設拡張
平成4年
CADシステムを導入
平成8年
クリーンルームおよび管理棟を新設
平成11年
大型機械加工工場を増築
平成12年
2階建組立棟、クリーンルームを増設
平成13年
ジラゴンノ第3工場クリーンルーム、第4機械加工工場を増設
平成14年
ISO品質マネジメントシステムを認証取得
平成18年
ジラゴンノ第4工場に大型機械加工工場を増設
本社所在地に大型化対応の第6工場クリーンルームを新設
平成19年
チタン製真空コンポーネントの開発
アクアガス発生器開発
平成21年
モノづくり中小企業・小規模事業者試作開発用等支援補助金に採択され
「ソーラーパネル用高効率真空製造装置」販売開始
平成24年
モノづくり中小企業・小規模事業者試作開発用等支援補助金に採択され
「高速スパッタリングによる新カラー成膜(薄膜)法の開発」販売開始 -
令和元年~令和2年
令和元年
テクニカルセンター開設
令和2年
地域未来企業 認定
取材趣旨:企業インタビュー