取材趣旨:企業インタビュー
業務用調理器具。質素な言葉に聞こえるが、本間製作所が手掛けるブランド『仔犬印』はこだわりが詰まっている。同社は、1951年に新潟県燕市で生まれた製造メーカー。お話を伺った本間社長は、幼少期から創業者である祖父の影響を受け、学生時代より、会社を継ぐ将来から逆算をして生活をしてきた。貿易の比率が高かった同社は、働く上で必要な知識を身に付けるために、1社目はヨーロッパを中心とした営業職として貿易の道を選び、それからはファッション関係の輸入業者として仕事をしていた。2代目社長である父の体調不良を機に、営業職として同社に入社し、専務を経て、33歳で社長に就任。子供の頃から同社のことを考え続けている本間社長に、本間製作所らしさや仕事に対するこだわりを伺った。
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株式会社本間製作所
代表取締役本間一成
ものづくりへの思い
シンプルで機能的なデザイン
使うことで得られる満足感
愛着をもって商品を使ってもらいたい
使い続けることでお客様のもとで育ててほしい
これらの思いを込め「仔犬印」と名付けました
目次
伝統と挑戦と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
のほほんとしているプロフェッショナル集団
「プロフェッショナル集団」という言葉の前に「のほほんとしている」という修飾語。本間製作所は、そんなユニークな表現がマッチする会社である。より質の高い製品を製造するには、与えられた仕事に高い集中力を持って取り組むこと、つまりプロフェッショナルとしての意識が大切である。そのために業績や外部とのやり取りは本間社長自身がすべての責任を持つことで社員に対して余計な心配やストレスを与えないようにし、製造に集中できる状態をつくりあげてきた。「何事でも今不安だと感じていることは親身になって聞くことを意識している。余計なストレスのない状況こそ、高い集中力を保てる」と本間社長は話す。その考えが浸透したことで、のほほんとした雰囲気のある会社になったのである。その結果、社員が常にお客様のためにという精神で仕事に取り組むことができ、高品質の商品を製造することができている。のほほんとした雰囲気のプロフェッショナルな集団として、高品質の製品を製造し続ける。
つくりたいと思ったらどんなものでも形にできる
金型の製造からその金型を基に製造された製品の販売まで、これらの工程すべてを自社で進められる会社は数少ない。本間製作所は、そのすべてを自社で担うことができる。現在の製品数は2,000種類を超え、それの製造のために保有している金型は8,000種類にも上る。これまで製造してきた豊富な種類の金型を持ち合わせているため、改良や追加を容易にでき、社員やお客様の声に対するスピーディーに対応が可能である。多くの製造業の会社は、お客様からの要望があった時に、型を設計し、それが金型の場合、金型製造業者に依頼し、それを納品してもらった後に自社で製造を進める。同社の場合、既にある金型を組み合わせるのみ又は、新たに必要な金型の製造のみで試作が可能であり、スピーディーに新商品を生み出せるのだ。「つくりたいと思ったらどんなものでも形にできる」という中小企業はそう多くはない。「仔犬印」という自社製品を持つ強みと、金型製造という手持ちの武器を最大限活用し、これからもアップデートを続けていく。
製品に自信あり。だから世の中に広める
「どんなに良質な商品を持っていても、認知されなかったら売れない。だからこそ、認知度を高めていくことが本当に大切」と話す本間社長。既にSPA(製造&小売り)をしている企業を参考にして、ユーザーが直接『仔犬印』を買いにきたいと思わせる状態をつくることを目指し、そのためにユーザーに対するPRを増やしていきたいという。高品質な商品を製造できるという自信があるからこそ「もっと本間製作所の製品を届けたい」という想いを感じ取ることができた。
今では、新しい商品を中心に、Twitter、InstagramなどのSNSやプレスリリースを活用し、積極的に紹介している。また、他の小売店のSNSで自社のケトルを紹介してもらったことで、古くからある商品が再度ヒットしたという事例もある。現在、Instagramのフォロワーは加速度的に増えているようだ。自社の高品質な商品をより多くの人に利用してもらえる未来を描きながら、自社の認知度を高める動きをこれからも進めていく。
「こだわり」を大切にし続ける
本間製作所が大切にしていることを教えてください
見た目、機能性、耐久性にこだわることを大切にしています。その中でも、まずは機能性と耐久性が必要になってきます。本間製作所の製品は、業務用であるからこそ、より使いやすいものであることがユーザーの満足につながります。製造する上では「見た目もとても大切ですが、ユーザーがこの製品を使用する上で一番大切なポイントに絞って製造することで、より早く製品化、量産化できています。「より多くのユーザーに届けたい」という想いを常に社員と共有していることで、高品質な製品の製造ができると思います。また、金型の製造から自社で行っているからこそ、ユーザーへの細かい要望に迅速に対応することができます。
商品の見た目に対するこだわりを教えてください
以前は、機能性・耐久性のみを考えていましたが、現在はシンプルでかっこいい、もしくは思わず手に取ってみたくなるかわいらしさ、そのどちらかに振り切ったデザインで新製品を開発しています。パーツの形状や角度を揃えるなどの工夫を施したシンプルな形状のかっこいいデザインの商品、また逆にパーツを大きくデコラティブにして製品本体とのミスマッチをつくったかわいいデザインの商品を製造するなど、我々自身もデザインを楽しんでいます。また、お客様に仔犬印製品のデザインを楽しんでもらい、製品を所有すること自体に喜びを感じてもらいたいという思いもあります。「ユーザーが使っていて楽しく、喜べる商品なのか?」を常に問い続けています。
どんな人と一緒に働きたいかを教えてください
これからは、未来のことを考え、自ら行動できる人と共に働きたいと思っています。もちろん、自社の特徴である、のほほんとした社風は、当時の商流、そしてお客様と社員のことを考えたことでつくられましたが、今後は自らお客様のことを考えて行動できる人と共に働いていきたいと思っています。そのような行動をできる社員の育成や採用のために、SNSは本当に有効だと感じております。あらゆる方にSNSを見てもらうことで、お客様や友人から「本間製作所って、こんな会社なんだね。すごい!」というような声をいただけており、それによって社員のモチベーションにつながると同時に、意欲の高い方が自社に入りたいと思ってくれてきています。お客様の声を大切にして働ける会社として、これからも成長していきます。
大人気商品 フラットエッジボウルセット TVでも取り上げられている商品!
シンプルでカッコいい!! 本間製作所こだわりの製品!
かわいさを追求! 様々な商品を 本間製作所は有している
入社から半年。未来を見つめる若き力

株式会社本間製作所 営業担当 田中健介
入社したのは約半年前。その中でも新しいチャレンジを続け、徐々に業務範囲を広げている田中様。入社から半年という短い歳月の中で、「まだわからないことは多い」と話しながらも本間製作所の強みを見出し、同社の未来について描いていた。現在、営業としてオンラインストア事業に携わる他に、出荷業務、商品の配達、お客様窓口を担っている。半年前までは他社で働いていた中、知人より同社のことを聞いた際に同社に興味を持ち、営業部門に欠員が出たことを知った半年前に同社に入社した。同社の将来を本気で考え、本気で働く田中様に、この仕事のやりがいや目指していることなどについてお話を伺った。
伝承の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
本間製作所はものづくりから携わることができる会社
大学卒業後、入社したのは地元新潟のとある一般家庭用調理器具販売の会社。メーカーとして自社商品があるとはいえ、実際は、製造に関して協力工場に依頼をしているという現状があった。営業として先輩や同僚にも恵まれて充実した日々を送っていた中、田中様は自社工場で製品をつくるメーカーにも興味を持ち、「お客様の意見を直接反映できる製品をつくってみたい」と考えていた。 その矢先に本間製作所で働く知人から営業部門の欠員が出たという話を聞き、代表の本間社長と話す機会が設けられた。当初は緊張のあまり、話の内容は記憶があまりないという。ただ、本間社長が新しいことの挑戦をし続けている姿勢に感銘を受けたことは確かだそうだ。そこで、メーカーとしてものづくりから携わることができる同社に入社を決意。入社後は営業として、オンラインストアの事業に携わるなど、徐々に仕事の領域を広げている。
仲間と共に仕掛けを考える仕事
本間製作所内でオンラインストアの事業メンバーである田中様。オンラインストアの事業を進める際に、仲間と共に様々なアイデア出しや仕掛けづくりができることにやりがいを感じているという。「仲間と共に考えたアイデアが会社の売上につながっているという実感を持てる」と楽しそうに話す。現在、入社半年であるが、年次に関わらずお客様のことを本気で考えた仕事ができることに対する喜びを感じている一方、この仕事における責任は大きい。そんな時、本間社長や先輩方からねぎらいの言葉をいただけることも仕事のモチベーションになっているそうだ。入社から約半年と仕事に対する不安がまだある中でも、オンラインストアの仕事は仲間と共につくっていく仕事であり、仲間と協力することでより質の高い仕事をできていると感じているそうだ。更なる価値をつくるべく田中様は挑戦を続けている。
社長と近いところで仕事ができる存在に
「今、手掛けている仕事を本間社長と近いところで議論ができる存在になっていきたい」と熱く語る田中様。本間製作所の製品はステンレスなど様々な材料を使用したもの。ステンレス一つをとっても、その材料に対する専門知識は多岐にわたるため、これらの知識を体得していく必要があるという。本間製作所の営業の先輩からは、「知識を体得するためには、現場に入り現場の仕事をやってみることで本物の知識が身に付く」と言われるそうだ。現場に入ることで製造の工程でどのようなことが行われていることが分かり、営業にも生かせる。営業をしながら同時に現場に入ることは、時間の関係上、簡単なことではない。また、現場に今の自分が入っても足手まといになるかもしれない。そんな不安がある中でも、「まずは営業のスキルを向上させ、余裕を持った仕事をできるようにし、現場に入って更なる高みを目指していきたい」と田中様は将来を見据えていた。
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誰もが知っている会社にするために
本間製作所の特徴を教えてください
おしゃれな会社だと思います。地元、燕市の会社の中でも本当におしゃれだなと思います。このおしゃれさは、本間社長のこだわりや、会社の雰囲気によるものです。本間社長は、機能性だけではなく、見た目によってユーザーを楽しませるという考えも持っているため、会社のロゴもかわいくなっており、お客様より好評をいただいております。また、風通しがよく、アイデアをたくさん出せる会社であり、そのアイデアと本間社長のセンスが相まっていると思いますね。実際に、事務所にお客様が来た際は、「おしゃれですね」と言われることがあります。商品へのこだわりや、アイデアを出しやすい社風であるからこそ、おしゃれな会社がつくられていると思いますし、この雰囲気をこれからも残していきたいですね。
本間製作所をどんな会社にしたいかを教えてください
仔犬印という自社のブランドを誰もが知っている状態にしていきたいですね。私自身、入社から半年ですが、本間製作所の製品の質は本当に高いと感じています。だからこそ、たくさんの人に自社の製品を届けていきたいという想いがあります。そのためには、自社にしかつくれない商品など、自社にしかない強みをさらに増やしていきたいですし、その立役者に自分がなりたいと思っています。他にも、メディアへの露出、SNSを通じたPR、自社のブランディングなど、様々な取り組みが必要です。私自身がもっと成長し、商品開発に携わり、自社の発展を支えている人材となることを目指し、仔犬印というブランドを、本間製作所という会社を誰もが知っている状態にしていきます。
ご自身の将来像について教えてください
営業として自立し、高いレベルで仕事をできる存在になっていきたいです。これから、仔犬印というブランドや、本間製作所という会社を有名にしていく存在として生きるためには、自分が成長することが必須であり、より高い役職に就くことを目指しています。これからも仕事を進めていく上では、責任感や自信を持って仕事をすることがより大切になってくると思います。1つ1つの仕事に対するこだわりを大切にし、ユーザーの幸せに責任を持つことや、仕事をしていく上で何かあった時に責任を取れる実力をつけることが必要だと考えています。自立した存在になり、仔犬印、本間製作所をもっと世の中に知ってもらえるよう、これからも挑戦を続けていきます。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
この度は取材をお受けいただき、誠にありがとうございました。
本間社長の製品に対するこだわりや、田中様の未来を見据えた話を伺う中で、本間製作所のあらゆる魅力を発見することができました。ブランドである「仔犬印」の認知度の向上や本間製作所のさらなる発展を心より応援しております。
掲載企業からのコメント
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株式会社本間製作所 からのコメント
弊社を取材していただき、誠にありがとうございました。取材の際に質問をされることによって、創業者から受け継いできている本間製作所の精神や、自分が守ってきた本間製作所の伝統について改めて気付かされる機会になりました。改めてとはなりますが、貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
企業情報
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創業年(設立年)
1951年
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事業内容
家庭用調理器具
業務用厨房用品
卓上用品の製造・販売・輸入業務 -
所在地
新潟県燕市秋葉町3丁目20番9号
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資本金
1,000万円
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従業員数
54名
- 会社URL
沿革
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1951(昭和26年)~1978(昭和53年)
1951年(昭和26年)
本間鉄工所より株式会社本間製作所として設立
1954年(昭和29年)
燕市秋葉町3丁目20番9号に厨房用品の製造工場新設
1956年(昭和31年)
同所に仕上げライン工場増設
1964年(昭和39年)
同所にプレス工場増設
1973年(昭和48年)
旧岩室村津雲田字横上731番地に4000坪を取得し、建坪700の業務用厨房用品製造の津雲田工場を新設
1978年(昭和53年)
業務用厨房用品の大型化に着手するため、油圧プレス機300tを2基導入 -
1983(昭和58年)~2002(平成14年)
1983年(昭和58年)
本間英一が代表取締役就任
プレス行程の自動化ラインを導入
1985年(昭和60年)
津雲田工場に建坪400を増築
1987年(昭和62年)
電気調理機器製造ラインを導入
1989年(平成元年)
油圧プレス機500t、600tを導入
1992年(平成4年)
金型、治工具、製造ラインを導入
1995年(平成7年)
津雲田工場に建坪150を増築
1996年(平成8年)
板金、組立製造ラインを導入
1998年(平成10年)
2.5次元のレーザーカット機械を導入
2002年(平成14年)
3次元CADを導入 -
2004(平成16年)~2012(平成24年)
2004年(平成16年)
本間一成が代表取締役就任
2006年(平成18年)
価格安定化のためNSSC180などクロムステンレスの積極採用を開始
商品開発を開始
2008年(平成20年)
業務用IH機器の大型鍋対応化に伴い、スピニング設備、プレス設備を追加導入
2009年(平成21年)
業務用IH対応鍋のラインアップを拡充
2010年(平成22年)
ステンレス単相、単相厚底、クラッド材でのフルサイズ/フルラインアップ化
H軽量円環底押し加工鍋の販売開始
2011年(平成23年)
スーパーセラミックコーティング製造開始
2012年(平成24年)
本社工場大規模改装工事を実施 -
2013(平成25年)~2019(令和元年)
2013年(平成25年)
全外装工事を実施
自動倉庫を新規導入
太陽光発電ソーラーパネル導入
新規機械設備(自動倉庫)を導入
2014年(平成26年)
5軸CNC制御スピニングマシン導入
異型・角型形状のスピニング加工を開始
2015年(平成27年)
(異型・角型対応)自動研磨機ラインを導入
新型500t油圧プレス機を導入
2017年(平成29年)
スクリュー式鍛造プレス機を導入
2018年(平成30年)
津雲田工場に研磨専用工場を増築
自動研磨機ラインを移設
本社工場に自動研磨機を追加導入
2019年(令和元年)
立型マシニングセンターを追加導入
本社工場にブラスト研磨機(新型250t)を導入
取材趣旨:企業インタビュー