取材趣旨:企業インタビュー
創業から60年以上、新聞の輸送を主な事業として現在まで歴史を紡いできた七福運送。交通ネットワークシステムが発展し続ける中、最新機器の導入はもちろんのことだが、それ以上に同社は「人」の部分を重要視している。一人ひとりが人間性に富み、品質へ高い意識を持ち、そして生き生きと働くことができる。そのような環境づくりへの努力を惜しまなかったからこそ、同社は発展し続けてきた。そして同社は将来、培ってきた輸送ノウハウをもとにさらなる事業拡大を見据えている。同社を発展に導かんと陣頭指揮を執る鈴木社長に、今回はお話を伺った。
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七福運送株式会社
代表取締役鈴木 祥太
近年、交通ネットワークシステムの発展は、目覚ましいものがあります。
様々な流通システムが日々時間を短縮し、大変便利になりました。
我社では、最新の流通システムや最新機器の導入は勿論、何といっても人間性に富んだ最良の人材が、一番大切と確信しております。
大きな可能性を人間性豊かな人材と、働きやすい笑顔溢れる職場環境づくりが、企業最大の資産であり、より良い環境がハイレベルな流通システムを考え、お客様にリアルタイムな「生きたサービス」を提供できると確信しております。
スタッフ一人ひとりが、プロドライバーの意識を自覚すると共に、お客様に最良のサービスを心掛け、お客様側に立った「プロのサービス」をお約束いたします。
A地点からB地点への単なる荷物運びではなく、その先のお客様から見た「豊かさ」を考えて、今後、益々多様化する流通ニーズを満たすために、全社一丸となってより良いサービスを目指し、積極的な努力を続ける所存です。
目次
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
共に働いてくれる仲間
同社の社風を「コミュニケーションが活発なところ」と鈴木社長は語った。鈴木社長は「従業員」という言葉は同社には適さないと考えている。何故なら同社は社員を「共に働いてくれる仲間」と考えており、「従う」という文字が入っている「従業員」という言葉に違和感を持つためである。従わせるのではなく「共に創り上げる」会社にするために鈴木社長は社員の意見を大切にしており、そこからコミュニケーションが活発な社風が生まれているのだ。例えば、新しい車両を購入する際にはその車両に乗る社員に相談し、要望を取り入れている。車両の大きさは何トンなのか、車両後部に自動の昇降機は必要なのか、社内の装備はどのようにするか等、車両を使用する人が快適に使用できるような環境づくりを行っている。このような鈴木社長のコミュニケーションに対する姿勢が、社内にも浸透しているのだ。活発な意見交換で、同社は一丸となり会社の未来を創り上げていく。
24時間の高い対応力
独自性は「24時間の高い対応力」だという。同社は早朝から深夜まで、全時間帯の運送を可能としている。また、24時間電話対応が可能であり、お客様の緊急な連絡を受けることができる体制を整えているのだ。同社は朝刊と夕刊両方を扱う新聞輸送を主軸として事業を展開している。日中から深夜早朝までをも網羅する運送を行ってきたからこそ培われた対応力なのだ。様々な流通システムが存在する現在、同社のような手厚い対応サービスが他社と一線を画す付加価値となる。実際にこの対応力を持つからこそ獲得することができた案件もある。例えば生花の輸送だ。生花の運送は深夜から早朝にかけての仕事であり、繊細な商品であるからこそ密なコミュニケーションが取れることが重要視されている。同社は高い対応力を持っているからこそ、この生花運送を担うことができたのだ。24時間のハイレベルな対応力で、同社は高い顧客満足を獲得している。
ジャストインタイム
「創業から60年以上の歳月で培った輸送の強みを元に新たな事業を展開していきたい」と鈴木社長は展望を語った。同社は「ジャストインタイム」の輸送を強みとしている。必要なものを、必要な量だけ、正確な時間で届けることができるのだ。運送業は、交通環境によって配達時間が左右されてしまう。そのため配達時間帯を広く設定することが一般的だ。ただ同社は違う。配達時間を正確に定め、数分の遅れでも配達先に電話やFAXで連絡をすることを徹底している。日々の徹底が、社員一人ひとりの正確な時間的感覚を生み出しているのだ。近年、交通ネットワークシステムの発展は目覚ましい。様々なシステムの誕生によりリードタイムは短縮されている。そして、比例する形で顧客の時間的要望も短縮されている。高まるニーズに応え、「ジャストインタイム」の輸送力を元に時間的要望を叶えていくことで新たな分野を開拓していきたい、と鈴木社長は未来の構想を描いているのだ。
可能な限り、共に働く
どのような職場環境を目指していますか
社員が働きやすく、居心地の良い環境づくりに励んでいます。例えば出勤時に「さあ、会社に行こう」と、会社に行くことが楽しみになるような七福運送でありたいと思っています。数ある会社の中から当社を選んでいただいているので、社員が生き生きと働ける環境をつくっていきたいですよね。そのためには社員がマイナスな感情を抱いてしまう事象は避けなければなりません。例えば運送中に何かトラブルがあったとします。お客様からの矛先が社員に向くことを避けるために、お客様のもとへ社員は行かせず、私が直接足を運び解決します。プラスの環境づくりだけでなく、リスクヘッジを行うことでより良い職場をつくっているのです。
働きやすい環境づくりのために何を重視していますか
社員が伸び伸びと働くためには、仕事の枠を超えたコミュニケーションが大切です。社員のリアルな状況を把握し、生き生きと働くことができる場を提供することが私の仕事なのです。そのために制度として月一回の営業所内ミーティングと内部監査を行っています。営業所内ミーティングで話す内容は仕事の話だけではなく「彼が最近元気ないよな」や「彼女が近々結婚するようだぞ」という互いの情報交換の色が強いミーティングになっています。内部監査は私が各営業所に監査に行くのですが、その際に社員一人ひとりと話し生の声を吸い上げることで現状を把握しています。仕事にとどまらず、プライベートの想いも共有し合うことが、良い関係性で働くことができる秘訣なのです。
「共に働く仲間」に向けたメッセージをどうぞ
可能な限り、共に働いていきたいと私は考えています。社員はファミリーです。家にいる時間より、会社にいる時間の方が長い人も多いと思います。そうなると、私たちは第二のファミリーといっても過言ではありません。だからこそできるだけ共に過ごしていきたいですし、これまで会社に貢献してきてくれた社員には恩返しもしていきたいと考えています。例えば、若い層にはパワフルさが発揮できる力仕事を、ベテラン層には今まで培ってきたノウハウが生かせる繊細な仕事を振り分けています。そうすることですべての層が十分に力を発揮することができます。私たちはファミリーです。長く働ける環境は整備するので、是非とも可能な限り、共に働いていってほしいです。
七福運送のトラック
勉強会の風景
七福運送で働く仲間
大好きな七福運送をさらに良い会社へ

七福運送株式会社 本社営業所 営業課長 小倉 政人
入社してから20年以上、七福運送の発展に貢献してきた人物がいる。それが今回取材させていただいた小倉政人さんだ。小倉さんは現在、運送に関わる法令改定に伴う規則整備や各営業所への指導、顧客の獲得と業務の営業所への振り分け等各営業所が滞りなく業務を行うための社内整備を行っている。小倉さんは同社を「入社から定年までずっと働ける会社」にしていきたいと考えている。その未来を引き寄せるべく、どの年齢層でも活躍できるような環境づくりを行っているのだ。アットホームな社風を守り、全社員が生き生きと働くために日々奮闘する小倉さんの想いや仕事に対する姿勢を、取材を通して明らかにしていく。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
仕事を超えた仲間
「社員同士の仲が良く、楽しい雰囲気が存在していたから」と小倉さんは入社理由を語った。小倉さんは就職活動時「地域に密着した会社」であり「体を動かす力仕事」を行う会社を探していた。自分が生まれ育ったこの地域に貢献したいという想いがあり、また体を動かすことが好きだったためである。そこで出会ったのが七福運送だ。面接に参加し、同社について知っていく中で一番に感じたのが「社内の楽しそうな雰囲気」だった。社長が気さくで話しやすく、そして社員も生き生きと働いている。「自分もこの会社の一員になりたい」と思い入社を決意したのだ。この思いは入社後も変わっていないという。働きやすい環境が存在し、社内イベントである忘年会やレクリエーションも盛んに行われている。だからこそプライベートな話もすることができ、仕事を超えた仲間になることができるのだ。小倉さんは同社のこの伝統を守り、これからの未来にも繋げていきたいと語った。
前例は、自分たちでつくり上げる
小倉さんは仕事のやりがいを感じる瞬間として「お客様からの難しい要望を叶えた時」を挙げた。お客様から前例のない難しい要望を受けることは少なくはない。その際に達成するまでの道のりを描き、社内一丸となりその壁を乗り切り、全員が自らの成長を感じた際に、何にも代えられない多大なるやりがいを感じるのだという。小倉さんは、今までで一番のやりがいを感じた仕事として大規模な事務所移転依頼を挙げた。当時は事務所移転の経験も多くはなく、小規模なものしか受けたことがなかった。初めは案件の仕事量もわからなかったが、業務を細分化していくと徐々にその仕事量の多さが露わになっていった。「この案件があった一か月間は、社員一丸となり全力で走り切った一か月間でした」と小倉さんは語る。全員が全力を注いだからこそ、やり遂げた瞬間の達成感と成長は格別なものであった。同社はこれからも、どんな高い壁が立ちはだかろうと、社員の力を集結させて乗り越えていくのであろう。
定年までずっと働ける会社
「七福運送を、入社してから定年までずっと働ける会社にしていきたい」と小倉さんは熱い夢を語った。同社が主軸の業務としている新聞の輸送は、フットワークの軽さが必要な仕事である。そのためベテラン層でも活躍し続けてもらえるよう、既存事業にとらわれない広い視野で事業展開をしていかなければならない。「自分の視野を広げることが、この夢を引き寄せるための重要な要素なのです」と小倉さんは語る。視野を広げるためには、今まで持っていない新たな価値観を得る必要がある。小倉さんは新たな価値観を求め、精力的に様々な交流会に参加している。週に1度以上は交流会へ参加し、ビジネスチャンスの種に目を光らせているのだ。実際にその行動からビジネスへ繋がった例もある。小倉さんのビジネスへのアンテナで、同社の未来は大きく左右されるのだ。事業を拡大させていくために積極的に他者との交流を行い、小倉さんの「入社から定年までずっと働ける会社」を創り上げていく姿が目に浮かぶ。
社内バーベキューの一面
業務の風景
七福運送のエースたち
互いを思いやる会社
どのような人と一緒に働きたいですか
思いやりのある人と一緒に働きたいです。仕事は成果を出さないといけませんし、日々成長していかなければいけません。しかし、それらを「自分一人が」と考えるのではなく、「全員で成果を出す」「全員が日々成長する」と考えることのできる人が当社の社風には合っています。「社員は仲間」という意識を持っているので、人のことを考えることができ、会社全体を盛り上げていくことができる人と共に仕事をしていきたいです。また当社の仕事は、お客様の「輸送部分」を代行する仕事です。お客様のどのような想いを経てこの商品が完成しているのかを考えることができる人でないと、当社の仕事は向かないと思います。思いやりを持ち仕事に取り組むことで、会社をさらに盛り上げていきましょう。
会社の好きなところを教えてください
社員が互いに家族のように接し合っているところです。仕事をしていれば、忙しい時期や壁にぶつかる時期もあるかとは思います。そのような時期でも互いに助け合い、笑顔があふれているところが当社の好きなところです。これは社長も例外ではありません。むしろ社長がこの雰囲気をつくっています。例えば繁忙期や交通状況が悪かった際などは、仕事に出ると帰りが遅くなってしまうこともあります。その際に社長は、袋にパンパンに入った食料を両手に持ち差し入れをしてくれます。そして遅くなった社員に労いの言葉をかけます。社長が率先して社員を気にかけ、家族として思いやることでアットホームな雰囲気がつくられるのです。
仕事を行う上での信念を教えてください
「対話と調和」は最も大切にしています。お客様との対話がなければ、お客様からの要望に応えることはできません。機械的な仕事はできるかもしれませんが、高い満足度を得ることはできません。また社内でも、対話がないと互いの進捗状況がわからずに業務に支障が出ます。何といっても働いていてつまらないです。そして調和がなければ、一方的な仕事になってしまいます。例えばお客様からの要望を私が聞き、それを現場に伝えなければならないとします。お客様からの要望が少しでもズレて伝わってしまうとクレームに繋がりかねません。またお客様と現場、どちらかの意見を尊重しすぎても仕事はスムーズに進みません。対話をし、調和を保つ。対話と調和は忘れてはいけない姿勢です。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
取材させていただき誠にありがとうございました。個人的ではありますが、私は学生時代から運送業に関わることが多い生活を送っていました。その中で七福運送の話を聞き「ジャストインタイム」の輸送には驚きました。言葉で掲げるだけではなく、実現にまで及ぶ社員一人ひとりの意識の高さには、社長の人柄の良さがあるのだと感じます。同社が今後どのような発展を遂げていくのか、要チェックです!
掲載企業からのコメント
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七福運送株式会社 からのコメント
取材していただき誠にありがとうございました。七福運送がこれまでどのような道を歩んできたのか、そしてこれからどうあるべきなのかを整理できる良い機会でした。「仲間」で一丸となり、発展し続ける会社づくりに邁進して参ります。
企業情報
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創業年(設立年)
1951年
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事業内容
一般貨物自動車運送事業・産業廃棄物収集運搬業
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所在地
東京都新宿区南元町12番地
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資本金
4,000万円
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従業員数
104名
- 会社URL
沿革
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昭和47年~昭和59年
昭和47年03月
昭和26年6月創業の老舗運送会社である、七福運送株式会社(本店・中央区日本橋箱崎町4-27、資本金150万円)を現経営陣が事業継承。
昭和47年07月
資本金を150万円から800万円に増資。
昭和48年03月
朝日新聞東京本社と取引開始。
昭和48年10月
本社所在地を現在地(新宿区南元町)に移転。
昭和51年02月
東京都板橋区に板橋営業所開設。
昭和59年06月
日本経済新聞社の新聞輸送取扱開始。
神奈川県横浜市に横浜出張所開設。 -
平成元年~平成19年
平成元年01月
神奈川県座間市小松原一丁目に事業用土地建物取得。
平成元年11月
神奈川県座間市に座間営業所(現神奈川営業所)開設。
平成02年01月
資本金を800万円から2,100万円に増資。
平成04年04月
埼玉県志木市に埼玉営業所開設。
平成09年06月
資本金を2,100万円から2,600万円に増資。
平成10年06月
資本金を2,600万円から3,000万円に増資。
平成13年01月
板橋営業所を埼玉営業所に統合。
平成13年06月
資本金を3,000万円から4,000万円に増資。
平成15年08月
座間市ひばりが丘五丁目に400坪の事業用土地取得。
営業所建物新築。
神奈川営業所を小松原一丁目から当地に移転。
平成17年12月
貨物自動車運送事業安全性評価事業において本社営業所が安全性優良事業所の認定「Gマーク」を受ける。
平成18年11月
「ISO9001」品質マネジメント・システム 認証取得。
平成18年12月
貨物自動車運送事業安全性評価事業において埼玉営業所が安全性優良事業所の認定「Gマーク」を受ける。
平成19年12月
貨物自動車運送事業安全性評価事業において神奈川営業所が安全性優良事業所の認定「Gマーク」を受ける。
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平成21年~平成22年
平成21年08月
大和市代官3丁目に横浜営業所開設。
平成22年02月
グリーン経営認証取得 登録。
平成22年04月
埼玉営業所を和光市新倉7丁目に移転。
取材趣旨:企業インタビュー