取材趣旨:企業インタビュー
第一回紅白歌合戦が開催され、力道山がプロレス界に彗星の如く現れた1951年。その年に東京、吉祥寺で産声をあげたのが株式会社丸二だ。現在は賃貸マンションや個人住宅等の新築、それらのリフォームを行う、いわゆる総合建設業として成長を続ける同社。時代の変遷と共に、事業主体を官公庁工事から民間工事に移行し、「ルネス工法」や「外断熱工法」と呼ばれる同社独自の技術を用いて他社と差別化を図ることに成功。技術による差別化と同時に、新築工事を主として仕事を請け負った時代から、新たにリフォーム工事への挑戦を行うなど、時代とともに常に新しいことに取り組んできた同社。地域密着を掲げ、新築とリフォームの両輪経営を掲げる現在、同社が位置する地域において、数多くの依頼が舞い込んできている。今回は社長としてタクトを振るう、渡辺社長よりお話を伺った。
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株式会社丸二
代表取締役渡辺偕規
21世紀は、自然災害と共に生きる時代です。
地震、火災、強風、豪雨、水害、大雪、猛暑、寒波等の自然界の脅威から、人々の生命と財産を守ることの出来る安全強固な建物を、地域社会へ提供して行くことが、建設業の新たな社会的ミッションと成りました。
住宅と都市の強靭化によって、その地に生きる人々の安心安全な暮らしと経済を持続可能にして行くこと。
今、私たちは、このような社会的使命の前にも、確かに向き合っています。
目次
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
「1日1ミリの成長」を創る社風
同社は「1日1ミリの成長」をテーマに掲げ、社員全員が学ぶ姿勢を持った集団であり、それが同社独自の社風として根付いている。1日1ミリの成長を全員が実践していくことが、会社の成長に大きく影響を与えると渡辺社長は考える。「いっぺんに成長、いっぺんに能力を伸ばすというのは無理ですけど、1日1ミリで良い、亀で良いわけですよ」、そう笑顔で話す渡辺社長。その1ミリの成長を促進するための仕掛けが社内には様々ある。例えば、勉強会。同社では月に一回勉強会を開催しており、仕事のみならず、一人ひとりの人間性の向上が会社のレベルを上げるという考えから、「人間としての生き方」や「自分の心と向き合う」というテーマのもと社員みんなで学習しているのだ。さらには定期的に社員面談を実施しており、勉強会の内容が成長促進に役立っているのかどうか、自分自身がどういった点で成長しているのかを確認することで、一人ひとりが「1ミリの成長」をしているという実感を持つに至るのだ。「1ミリの成長」の考え方のもと、同社は邁進を続けている。
会社の成長を促進する、多彩な「情報共有の仕組み」
同社には、多彩な情報共有の仕組みが存在する。建築・施工を手がける同社であるが、一般的には仕事内容が属人化しやすい傾向にある業界だ。しかし、同社では、自分の持っている情報や知恵、技術を公開する仕組みを複数有しており、その情報を活用して各々が成長の糧としている。例えば、お客様よりいただいたアンケート内容の見える化。「本部だけが目を通し、各現場にフィードバックする」という、限られた社員のみが目を通すのではなく、全員で回し読みするということが同社では当たり前になっている。「○○さんのこういう対応が良かった」と書いてあれば、実際に対応した社員がどのような顧客対応を行っているのか、全員で共有することになり、ノウハウが展開される。一方、厳しい意見に関しても同様に、二度と同じ失敗を犯さないために情報共有及び対策の考案を図っているのだ。また、社内板というWEBを活用しての情報共有や、月に一度全社員を集めての取り組み事例の共有を図るなど、全社で情報を共有、活用することで、同社は成長を続けている。
職人チームの結成
職人を増やし、職人チームを同社内で結成していきたい、そう語る渡辺社長。同社はこれまで、総合建設業という業界において新築、リフォームの分野で躍進を続けてきた。近年需要が高まるのがリフォーム事業。このご時世において、新築を購入するお客様よりも、今ある家をいかにして住み継ぐべきか、そういった関心が世間のニーズとして存在する。リフォームを行うにあたり、様々な業者との連携が必要不可欠になってくる。例えば、電気工事の業者や水道工事の業者など、多種多様な業者と連携を図りながら仕事を進めていくのだ。そういった業者に外注するのではなく、自社で全ての機能を有しているとしたら、お客様のニーズにすぐに対応できると同時に、コストという観点からも外注費を削ることができるのだ。現在同社には「大工」が1名在籍しているが、今後は他分野の、いわゆる「職人」を雇用することで、職人チームを自社に確立させ、お客様のニーズに迅速に対応していく体制を目指す。
地域に密着した企業、丸二の転換期と引き継がれる思い
丸二の転機について教えてください
事業の主体を公共工事から民間工事に割合をシフトしていったことだと思います。なぜシフトし始めたかというと、国や地方行政からの発注も少なくなるのは目に見えていましたからね。その中で新たな収益基盤を作るには時間も労力もかかりました。時期としてはちょうど私に代替わりした時だったので、大変だったことを覚えています。その時に始めたのが、コーポラティブハウスです。コーポラティブハウスとは、入居者の方が共同で土地を購入し、建物を建て、居住するというものですが、入居者様の要望は一人ひとり違うので、各部屋それぞれ設計が違うため、現場は大変でしたが、「丸二はコーポラティブハウスを真面目にやっている」という印象をお客様に持っていただけたと思います。
公共工事から民間工事に移行するにあたり、力を入れたことについて教えてください
技術に力を入れました。やはり、特殊な技術を持っていないと、なかなか仕事をいただくことができなかったため、他社にはない技術を持とうと思いましたね。その一つが、ルネス工法と呼ばれるものです。従来の工法では、デッドスペースになっていた床下に広大な有効空間を作り出すという工法なのですが、例えば、その生まれた空間を収納スペースに使うことや、配管スペースに活用することもでき、居住空間が約25%も広がるという工法なのです。さらには、「外断熱工法」、「パワーコンクリート工法」など、丸二独自の技術を導入していくことで、お客様からの支持を受けられるようになり、民間工事の割合がどんどん増えていきました。これは、技術に力を入れてきた成果だと思っています。
渡辺社長が考える、社員に大切にしてもらいたいことを教えてください
「人として」というところですね。人間性が良くないとこの社会でやっていけないと私は考えます。そのことから、当社では人間性向上のための教育に力を入れています。実は、私は代替わりする前から社員教育の重要性を認識し、自分に代替わりしたら人間性を高める教育に従事していきたいと考えていました。私達の仕事は人として信頼されないと仕事はいただけないですし、「腕さえ良ければいい」という時代ではありません。例えば、「人のせいにしない」、一見当たり前に聞こえるかもしれませんが、そういう人間として持っておくべき当たり前の考え方、それが重要だと思います。それが会社に浸透してきていて、風通しも良くなったと思いますし、みんなの向学心が高まってきているのを感じています。
コーポラティブハウス第1号「きなりの家」
創立60周年記念の伊勢神宮参拝
1998年創刊のニコニコ通信
さらなる成長を求めて

株式会社丸二 建築部 主任 山崎大輔
株式会社丸二で建築部の主任として活躍する山崎さん。現在は東京都武蔵野市エリアを担当し、お客様からの要望をもとに、各々のお客様に最適なリフォームの提案を行っている。現在入社4年目の山崎さんは、成長環境を求めて前職を退社、同社にやってきた。もちろん楽しいことばかりがあるわけではなく、時には苦しむこともあるという。しかし、株式会社丸二という、仕事人として、そして一人の人間として成長をしていけるこの環境に身を置いたことが、人生に多くのプラスをもたらしているのだ。若手の成長株として同社に好影響を与え続ける山崎さんに、同社における仕事のやりがいや今後の目標についてお話を伺った。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
成長環境を求めて
「自分がやったことのない仕事に挑戦し、レベルアップをしていきたかった」、そう語る山崎さん。前職はハウスメーカーに勤務し、施工管理の仕事に従事。そのハウスメーカーではお客様の要望を形にする「注文住宅」を売りにしているものの、基本的にはパターンが決まっており、本当の意味での注文住宅を施工することができず、面白みを感じることができなかったという。建築業界と一口に言っても、会社によって得られる知識や挑戦できる仕事は様々である。そういった背景があり、出会ったのが同社。同社で担う仕事領域は非常に幅広く、一般的には「営業」「見積もり」「工事の手配」「現場管理」というように、分業で仕事を行うことが多いが、同社では一貫して一担当者に任せている。現在山崎さんはリフォームを担当しているが、今後は新築の分野でも活躍していきたいと考えている。自分がやったことのない仕事への挑戦、そしてレベルアップ、入社当時の言葉を、同社において具現化していっているのだ。
自分の知識、経験がものを言う
自分の知識、経験を存分に活用し、お客様に提案ができる、それが山崎さんのやりがいだ。多種多様なお客様がいる中で、明確に「こうしてほしい」というイメージが固まっているお客様もいれば、「イメージが固まっていないから提案してほしい」、さらには「緊急対応が必要なため、なんとか早く直してほしい」、そういったお客様も存在する。後者2ケースの場合、山崎さん自身が提案をしていくが、そこで必要になるのが、知識と経験。これまで現場で施工管理をしてきた中で、様々なケーススタディが山崎さんの頭の中にあり、それを最大限に活用することで、迅速且つお客様の要望に合わせたリフォームや修繕を施すことが可能になる。以前、雨漏りで困っているお客様より営業時間外の夕刻に連絡が入った。山崎さんはすぐ現場に駆けつけ、これまでの経験、知識、そして上司のアドバイスを得て、その日のうちに見事に修繕を行ったのだ。これはまさに経験がなせる技。お客様はその対応に非常に喜ばれたという。今後もより多くの経験を積み、お客様への提案を実施していく。
より多くの学びを
より幅広い知識の習得、そしてより多くの経験を積み、仕事の幅を広げていくことが山崎さんの掲げる目標だ。その目標を実現するために、現在担当しているリフォームはもちろんのこと、今後は新築の施工管理にも携わっていきたいと考えている。「よりお客様に喜ばれる仕事をしていきたい」、「お客様に対して分からないという発言はしたくない」との考えが背景には存在する。例えば「こういう構造だと、こういう問題が生じる可能性がある」という知識に関して、新築を経験することで、特殊な設計方法や家の構造を知ることにも繋がり、リフォームの分野に活かしていくことができるという。「リフォームから新築の部署に移り、そこで様々な経験を積みたい。そして、ゆくゆくはリフォーム分野に戻り、これまでお世話になった上司、そしてお客様に対してその知識、経験を還元していきたい」そう熱く語る山崎さん。尽きない向上心で更なるレベルアップを図っていくのだ。
お客様からの声は大切な財産
丸二の行う苗木を育て森へ返す活動
お客様からご好評いただく社員イラスト
若手社員が感じる、丸二の素晴らしさ
地域密着を掲げる丸二ですが、地域密着ならではの醍醐味について教えてください
地域の方の繋がりで、ご紹介をいただけるということですね。もちろん、お客様に納得していただけることが前提となりますが、良い仕事をした際には、お客様がお客様を呼ぶ、いわゆる口コミのような形で仕事をいただくことがあります。正直お客様にとって、紹介をしていただくと割引がある、そういったメリットは特にないのですが、密に接していることが要因となり、お客様をご紹介していただけます。さらには、とある現場に工事で伺う際、その近所に以前リフォームを実施したお客様の家があったのですが、その際に駐車場を快く貸して頂けたりするなど、地域ならではの温かみと言いますか、繋がりを感じることができます。
丸二の良いところを教えてください
やはり、「お客様第一主義」という考え方だと思います。正直、世の中の会社を見てみると、上辺だけで顧客第一主義を掲げている会社があることも事実だと思います。しかし、当社では本当の意味でのお客様第一主義を掲げ、行動に移していると自負しています。その最たる例が、当社独自の取り組みである、お客様にアンケートを書いてもらい、それを必ず今後の改善に活かしていくという仕組みがあることだと思います。やはり、様々な現場を回っていると、様々なお客様がいらっしゃり、様々なご意見を頂戴します。その意見をその現場を担当した社員だけが見るのではなく、会社の財産として共有し、全社としてより良いサービスを提供していくための糧にしています。そういった取り組みがあるからこそ、60年以上も地域に根ざした会社運営ができているのだと思います。
丸二に対する"想い"を教えてください
丸二へもっと利益貢献をしていきたい。私個人としては「お客様の喜び」=「利益」であって、お客様の喜びを作っていくことが会社、そして地域への貢献だと思っています。丸二は、地域に根ざした会社で、地域の皆様との繋がりを大切にしています。「丸二は困った時にすぐ飛んできてくれる。長い付き合いなので、働いている社員の顔や仕事ぶりがわかり、信頼できる」そういう評価を、より多くのお客様より頂けるように、私自身もこの地域の皆様ともっと繋がりを持ちたいと思っていますし、結局はそれが丸二の発展につながると考えています。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
渡辺社長よりお話をお伺いして感じたことは、何よりも「人として」の成長を重んじること。 その人としての成長があるからこそ、地域に根付き、多くのファンがいらっしゃる、 そういった特徴を持った会社であると感じました。 さらには、公共事業を主体とした事業から民間へとシフトしたこと、 新築のみならずリフォーム分野へとチャレンジしたことなど、 常に時代の変化に合わせて柔軟に成長を遂げることの重要性を学ばせていただきました。
掲載企業からのコメント
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株式会社丸二 からのコメント
自社ホームページや社長ブログなどで情報の発信を心がけていますが、今回取材をしていただき、第三者から弊社の発信をしていただける機会が大変貴重だと感じました。あくまで客観的に、丸二という会社を紹介していただき、その文章を読むことで改めて弊社の良いところを再認識できたように感じております。今後も地域に密着して、地域の皆様に必要とされる企業であり続けていく所存でございます。
企業情報
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創業年(設立年)
1951年
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事業内容
総合建設業(賃貸マンション・賃貸併用住宅・個人住宅・商業施設等の新築、及びリフォーム)
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所在地
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-35-1
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資本金
授権資本金:8,000万円/払込資本金:5,000万円
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従業員数
38名
- 会社URL
沿革
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1951年~1998年
1951年
東京都武蔵野市(現本社地)にて創業
1953年
有限会社渡辺建設として法人化(創立)
1963年
株式会社渡辺建設に組織変更
株式会社丸二渡辺建設に商号変更
1985年
官公庁工事から民間工事に事業主体を移行
1994年
ルネスマンション第一号建設
1997年
丸二アフターサポート開始
1998年
コーポラティブハウス事業開始 -
1998年~2012年
1998年
「ありがとう通信(現ニコニコ通信)」発刊
2000年
エコヴィレッジ日野に「外断熱工法」採用決定
2003年
創立50周年 株式会社丸二に商号変更
2004年
「パワー・コンクリート工法」開発
2009年
「加子母ひのき住宅」農商工連携事業認定
「加子母森林ツアー」開始
2010年
加子母ひのき産地直送住宅(CASIMO1250/1550)販売開始
2011年
混構造住宅「ANCIENT HOUSE」販売開始
2012年
戸建賃貸住宅「レンタルハウス宝箱」発売開始
取材趣旨:企業インタビュー