取材趣旨:企業インタビュー
今回、取材をさせていただいたのは、千葉県浦安市に本社を構える株式会社ウラタである。
同社がメインとする事業は、建設工事、不動産開発、リフォーム・リノベーション工事であり、そのいずれにも、昭和49年にウラタ工業株式会社として、大工工事業からスタートした会社の根底にある「モノづくりへのこだわり」が溢れ出ている。また、地元愛が強く、KSL(関東サッカーリーグ1部)に所属するサッカーチーム「ブリオベッカ浦安」のメインスポンサーになるなど、ビジネス以外の話題にも事欠かない。この度は、平成16年に創業者より代表を受け継ぎ、今や117億円の売り上げを誇る企業へと押し上げた、代表取締役社長の浦田一哉氏にお話を伺った。
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株式会社ウラタ
代表取締役社長浦田一哉
当社は昭和49年の創業以降、お客様の夢の実現を全社一丸となり取り組んでまいりました。
おかげさまで地域社会から信頼される企業に成長し、「街づくりとは何か」という我々が目指すべき住まい、街、未来を追い求められる企業になりました。
これからもものづくりのへの拘りはもちろんのこと、常に変わり続ける時流を真摯にとらえ新しいビジネスモデルを構築し、建設不動産業の六次産業化を実現し時代をリードする企業を目指します。
目次
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
幕の内弁当
「全社員を通じて、共通する“ウラタっぽさ”というのはない。むしろ、そんなところが、ウラタっぽさなのかもしれないけれど」。そう答えてくれた浦田氏は、個性あふれた人材が集まっている当社は、「幕ノ内弁当のようだ」と社風を表現してくれた。家族経営でプチ体育会系な会社だからみんなで仲良く力を合わせられているのではないかと考えている。最近は、部活や社員旅行もあり、地域イベントはみんなで行ってワイワイ取り組んでいる同社。日々の仕事をガツガツやるということよりも年間目標をみんなで達成することを重要視している。人事評価も7,8割が会社の業績、2,3割が個人評価であり、個人の成績が評価を大きく左右することのない仕組作りが、総力戦で目標に向かい頑張れる組織を生み出している要因なのかもしれない。それぞれが、自分の仕事はきっちりやる。そんな暗黙の了解の中、メリハリと主体性を持って動くことが求められる。やるべきことをやったうえで、それ以上にできたことがあなたの能力。そんな考え方を持っているのが、株式会社ウラタなのである。
わたしたちの辞書に「NO」はない
「独自性と言われると、どこもやっていない珍しい答えを出した方がいいのかもしれないですね。しかし、私たちの独自性をひとつ挙げるのであれば、“当たり前のことを当たり前のように積み重ねる”といった当然のこと。例えば時間、例えば工期や納期。一度合意した約束は、変更がない限りどんなことをしても守る、ただそれだけを大切にしてきた。」そう語る語気には力が籠る。その他があるとすれば、お客様からのリクエストには全力で応えようというのがスタンスである。浦田社長は続けて、「当然、私たち自身ではできないことがある。でも、それは勉強して出来るようになればいい。もし、それでもダメならばそのリクエストに応えることができる人を探そう」といった考えを持っていると。「いわゆる無理難題だと思えることも見方を変えればお客様からの期待の表れでありますからね」と、顧客に寄り添うことを大切にしています
一気通貫サービスを提供するモノづくり企業の旗頭
「何が、お客様にとって一番なのか?これを会社の損得抜きで考えた時、残念ながら、現在の不動産、建築業界がスタンダートとしている分業型でのサービス提供が正しいとは思えない」。浦田氏はそう語ってくれた。土地の担当、建設の担当、アフターフォローの担当、そして各営業担当等々。これでは、何か問題が生じた時、お客様がどこに連絡をすれば良いのか分かりづらいし、そもそも企業側でも責任の所在がどこにあるのかをグレーにしやすいのである。このような現状の中で同社が目指すのは、不動産の取得からアフターフォローまでを全て請け負う一気通貫型サービスの提供。現在でも行っていることのようではあるが、万全の体制で提供出来ているとは言い難いとのこと。「既存ノウハウの向上だけでなく、新しいノウハウの構築と人材採用や教育に力を入れて、このサービススタンスをモノづくり企業の見本となるレベルまで昇華させ、お客様にとっての一番を追及していくのが目下の目標」と展望を語ってくれた。
「考えるって楽しい、つくるって楽しい」これが、ウラタイズム
ビジョン実現に向けた課題について教えてください
"一気通貫サービスを提供するモノづくり企業の旗頭になる"。このビジョンを達成するためには、どのようなことが不足していますかという、そんな意地の悪い質問にも動じずに答えが返ってきた。
「実は、このビジョンを実現するための課題は、そう多くない...、がしかしながら、なかなか難易度が高い課題であることも事実ですね。」この言葉の意味を捉えようと考えこむ筆者に、浦田社長が解説を続けてくれた。「一気通貫サービスをするには、豊富な資金力が必要なのです。それこそ大手企業が一気通貫型のサービスを提供すればお客様のためにも良いのでしょうが、多くの企業はリスクを恐れてやらない、またはリスクを背負ってまでやる理由がないのです。だから今のウラタは、万全の体力をつけるための基礎トレーニングを積み重ねています。大手並みの資金力という体力を手に入れること。これが今の課題だと認識しています。」と。
どんな会社になりたいと考えられているのか教えてください
「"人材の採用と教育"。これが、課題克服のために一番力を入れていることですね。」より一層、会社が強くなり大手並み資金力という体力を手に入れるためには、より多くのファンがいる会社にならなければならない。しかし、私たちは企業である。よって、アイドルやスポーツ選手のように、憧れの存在になるということではないと思っている。それでは、お客様が会社のファンになるということはどういうことなのか。それは、「信頼される存在になる」というとなのではないかと思う。お客様は、担当をするウラタの社員を通してウラタを評価する。だから、お客様と直接関わることとなる「人材の質」はとても重要なのである。「幸いにして現在の"質"には、ある一定レベルの評価をいだいているので、足りないのは"量"。これからも採用と教育に力を入れる事で、多くのファンがいる会社へと成長していきたい。そう強く思っています。」
働き方の特徴について教えてください
「どのような業界のどのような業種で働こうと"楽しい"と思うことがない毎日の連続では、かなり辛い人生を過ごすことになると思う。私たちは、建設と不動産を主とする会社。他の建設、不動産業界の会社と何が違うのと聞かれても大枠で捉えればなにも違わない。」それでも、他とは異なった会社だと思っている。「ウラタの仕事は考えてつくること。」そのひとつひとつに楽しいと感じることができる要素が詰まっている。もちろん、笑いながら働くばかりではない。失敗することもあるし、時には出口が見えない迷路に迷い込むことだってある。そんな時こその仲間がいる。普段は、頼りなさそうなメンバーでも誰かのピンチには手を差し伸べてくれる。「"考えるって楽しい、つくるって楽しい"この会社にいるすべてのメンバーが戦うフィールドを大きくしたい。」たったそれだけを共有しながら、個性溢れる人たちが集まって支え合うことで、楽しいを実現しているのである。
世代ごとの研修では活発な議論も
オープンスペースのあるエントランスフロア(本社別館)
部活動も一つのコミュニケーション機会(社内)
任された仕事を 強く大きくしていきたい

株式会社ウラタ 営業本部 サービス課 係長 寺岡毅
同社の若手社員代表として、取材させていただいたのは、寺岡毅さん。
新卒として、初めての社会人経験をここ株式会社ウラタの営業本部の企画開発課で新築営業の担当としてスタート。その後、同本部のサービス課で施工管理から現場監督まで多岐に携わり、振り返ればすでに入社8年目の中堅社員である。建築士で設計に携わる母の元に生まれ育った彼は、大学でも不動産学部へと入学するという経歴の持ち主。この度は、建築、不動産業界のイズムを持ち合わせるであろう彼から見えるウラタの景色について、お伺いさせていただいた。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
インターンシップへの参加。それが、きっかけ。
「小さい頃から建築士である母の影響もあり、具体的なことは分からずとも感覚的に建物と触れ合っていた」という寺岡さん。建物が嫌いじゃない、そんな気持ちがあって、大学でも不動産学部を選択されました。「実は、就活先でメインターゲットにしていたのは、不動産の賃貸や売買で、建築はここ一社だけでした」とのこと。そんな中、大学の学部長からの推薦で、当時のウラタが開催するインターンシップへ参加されることになったのです。そこで、建物の営業についてイメージを持つことができたと同時に、主に担当してくれた2名の先輩社員と接することで、明るい会社であるという印象を持てたことが決め手となったとか。学生時代に、地元に住んでいたことがあったのも決めた理由の一つなのかもしれません。そうお話してくれた寺岡さんの現在は、自部署を強く大きくするために奮闘されていらっしゃいます。
プレッシャーを乗り越えてこそ得ることができるもの
新築営業の担当としてキャリアをスタートし、現在は、改修工事の営業から施工管理までを担当し、依頼から完成までを見てきた寺岡さんは、「人間にも寿命があるように、建物にも寿命があり、古いものから新しいものへと変わっていくのです。」と話してくれました。「その移り変わりに携わるのも私たちの仕事で、完成するまでの間は、大変なことや面倒なことなどもたくさんありまし、時間内に終わらなければ会社の利益が出ないだけではなく、お客様からの信頼を失ってしまうといったプレッシャーもあります。」と話す寺岡さん。それでも様々な事情を乗り越えた時の達成感は、格別なものがあるようで、「なによりも、お客様が喜んでくれる。これは、お客様と直接接するからこそ得ることができるやりがいですね」。そう教えてくれた表情には、日々の充実感が感じられました。
自分が携わる部門をより強く大きくしていきたい
「目標は、サービス課の増員増強」と話す寺岡さん。現在所属するサービス課の中で、リニューアルやリノベーションといった、今ある建物をより良いものにするお仕事を主体に従事している。そのリニューアルの部門を強く大きくしていきたいというのが、ひとつの目標。「そのためにも、まずはサービス課を“課から部”へ強く大きくする。そして、“課から部”へと成長させていきたい。この過程で、必要となってくるのは人材、特にマネジメントレベルの仕事ができる人。そこは、今後しっかりと勉強を重ねて、私も担い手の一人になりたいと考えています。」と短時間の中で、一気に話し切ってくれた寺岡さん。しっかりとした具体的な目標だけではなく、夢を夢で終わらせないための課題把握とその解決方法までの提示。これからのウラタを背負うのはこのような人物なのかもしれない。
仕事について語るのも楽しい
ウラタは地元地域のサッカークラブも応援
地域のお祭りには全員でお祭りを盛り上げる
ウラタという幹がある。私たちという枝葉がある。
寺岡さんから見たウラタで働く人たちについて教えてください
そもそも自分自身を基準として良いのかということに疑問がありますけれど、自分基準で話していいのであれば、"周りには変わった人が多い"というのが印象です。平たく言えば、個性的な人がたくさん集まった会社ということになるのでしょうか。ただ、バラバラではなくて、軸はあります。"みんなで力を合わせて会社を大きくしよう"というのは、みんなが持っている共通する認識だと思います。その太い幹があって、それぞれの個性を活かす枝葉があるというのが、ウラタという組織であり、働く人たちの位置づけなのではないかと感じています。だから、たとえ、"遠回りをしたとしても戻るべき場所があり、別ルートと思える選択をしたとしても戻るべき想い"がある。
最終的にみんなの意見が合致するのは、そんな軸があるからではないかと思っています。
仕事とプライベートについて教えてください
家でじっとしているのが、好きではないので、休みの日は外出していることが多いですね。日頃は、どうしても子供の世話が、妻頼りになってしまうので、妻が一人になる時間を作るために、子供と色々なところへ出かけています。個人的には野球が大好きで、浦安にある草野球チームに所属し、練習や試合に出て楽しんでいます。仕事は、基本土日休みですが、第一、第三土曜日は、午前中が出社。時に夜間しか工事ができないような案件もありますが、そんなケースは、夜働いて昼に休みを取る。忙しい時は働き、暇な時は休むといったスケジュールを自分で管理して行っています。特に、休みが取れないといった心配をする必要のある会社ではありませんよ。今年は、ゴールデンウィークに仕事をしたので、約一ヶ月遅れの6月にゴールデンウィーク休暇を取得しました。
寺岡さんが、就活生に大切だと思うポイントを教えてください
私は、今から社会に出る新卒の学生に対して、一般的な就活論を語るほど、就活に詳しいわけではありません。強いて挙げるのであれば、"自分自身で明確な夢や目標を持つ"ということではないでしょうか。ただ、面接では夢や目標を聞かれれば答えられるように準備はするものの、本当に明確なものを持っている人は少ないのはないでしょうか。ただ、弊社への就活ということであれば、少し違います。もちろん明確な夢や目標があるに越したことはありせんが、それ以前に、図画工作の授業が好きだった。子供の頃にプラモデル作りをしていた。自転車やバイクをいじれる。折り紙で色々なものが作れる。などモノづくりに関連するようなことに興味があるのであれば、良いと思います。誰でも入社後1~2年は苦労するものですけれど、それを乗り越えれば、きっと一人前になれると思います。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
浦田社長、寺岡様より取材を通してウラタの未来について全社員が一直線に向かっていること、その中で個々に自分の目標と可能性を抱いていると伝わって参りました。近年、カンボジアでも事業を成功させているウラタ。今後も、日本のみならず、世界で活躍するウラタに目が離せません。
掲載企業からのコメント
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株式会社ウラタ からのコメント
取材していただきありがとうございました。改めて会社について話してみると新たな気付きも出てきて、これからの未来を見つめ直す良い機会となりました。今後もウラタが発展し続けるために尽力していきます。
企業情報
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創業年(設立年)
1974年
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事業内容
■建設工事 ■マンション開発 ■リフォーム・リニューアル・リノベーション ■土地有効活用コンサルティング ■資産運用コンサルティング ■太陽光発電
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所在地
千葉県市川市広尾1-6-3
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資本金
9,600万円
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従業員数
73名
- 会社URL
沿革
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1974年01月~1994年04月
1974年01月
ウラタ工業株式会社を資本金200万で設立
1974年11月
大工工事業許可取得
1978年08月
建設工事業許可取得
1981年08月
一級建築士事務所登録
1992年12月
千葉県市川市広尾に本社別館(地下1階、地上7階)を建設
1994年04月
創立20周年を機に「株式会社ウラタ」へ社名変更 -
1996年08月~2005年03月
1996年08月
宅地建物取引業許可取得
2003年12月
ISO9001認証取得
2004年01月
創立30周年
2004年03月
土木工事業許可取得
2004年04月
浦田一哉、代表取締役社長に就任
2005年03月
売上高 過去最高の107億円を達成 -
2005年06月~2017年03月
2005年06月
とび・土工工事業許可取得
2013年09月
グループ会社「株式会社UBS」を設立
2014年01月
創立40周年
2015年03月
カンボジア王国に
URATA S.E(CAMBODIA)Co.,Ltd. 現地法人設立
2017年03月
売上高 過去最高の111億円を達成
取材趣旨:企業インタビュー