日本が誇る伝統と挑戦の革新企業

取材趣旨:企業インタビュー

大有の創業は65年前に遡る。創業者・宮永進氏が2代目社長菊池武英を含む数名の同士で立ち上げたのがその始まりだ。社名の『大有』とは、宮永氏が信奉していた易経に由来し、『大いに所有する』を意味する。繁栄や評判を得ている時も、常に天の助けがあることを自覚し謙虚たれ、という意味が込められているのだ。同社はドラムハンドリング機器のパイオニアとして、お客様を満足させ続ける確かな技術と、お客様第一主義を貫くことで、根強い支持を受け堅実に発展をしてきた。今回取材をしたのは、宮永進氏の孫であり、代表取締役を務める田中良和氏だ。創業者の意志を継ぎ、常に謙虚でありつつも、大有を更に強固な組織にしていくために想いを巡らす田中社長に、大有のこれまで、これからについてお話を伺った。

  • 大有株式会社

    代表取締役田中良和

    大有株式会社は創業者の宮永進により、1950年に産声を上げました。
    そして1953年、日本初のドラム缶運搬車「ドラムポーター」の
    開発により、マテリアルハンドリング機器メーカーとして歩み始めました。
    以来、当社は製品のほぼ全てを、ユーザーからのご要望やご相談に応える
    オーダーメイドで製作し、世に送り出してきました。

    私たちのマテハン機器の開発・製造技術やノウハウは
    お客様の数々のご要望を基にして蓄積してまいりました。
    つまり、当社は70年にわたり、お客様に育てられてきた企業といえるでしょう。
    お客様のおかげで、マテハンのパイオニアを自負する当社は、
    今日では「オーダーメイドの大有」と称されるようになりました。

    「すべてはユーザーのために」という信条のもと、大有株式会社は
    100年企業へ向けて新たな変革の時代へ踏み出しています。
    お客様の満足を第一義とする姿勢は、今後も変わることはありません。
    オーダーメイドで応え、マテハンをつなぐ提案者として、
    お客様が抱える課題の解決に努め、社会と働く人に貢献する企業を目指します。

目次

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質

社風

組織とは、『個』の集合体 個の尊重こそ企業の生きる道

『企業というものは組織体ですが、『個』の集合体でもあります。当社はその『個』、つまり各自の個性を大事にしたいんです』と田中社長は語る。 各社員抱えているお客様は違う。求めている製品が違う場合もあるし、同じ製品でも違うニーズで依頼をするお客様もいる。そんな中で、企業の色を押し付け、社員の色を単一にしては、お客様の多種多様なニーズに柔軟に対応することは出来ない。各自の個性を理解し、個人の最大価値を引き出し、提供する。この姿勢こそが大有に浸透する考えだ。 田中社長は、お客様の視点で考えて続けた結果、自ずとこの考えに至ったと言う。 また『この社員は設計のほうが実力を発揮する』と思えば、積極的に配置転換も行う。『社の意向を強制するのではなく、社員の最適化を行う。それが大有らしさなのです』と社長も語るように、社員の色を輝かせるためにも個人の配置転換の要望には、できるだけ応えるようにしているそうだ。 お客様に最大の価値を提供するにはどうすれば良いのか、という想いを常に持ち続けること、それが大有の大切にする軸でもあり、社風なのだ。

独自性

For Userを貫くためのオーダーメイド

大有の独自性は、徹底したお客様第一主義に依拠したオーダーメイドだ。 大有は『For User』を合言葉に日々技術の研鑽に努める。大有の事業は、生産工場や、物流拠点内の硝酸や岩塩などの原材料の全ての移動に関わるマテリアルハンドリング業界に属する。同業界の一般的な企業は標準品を大量生産し、より多くの製品を納入する大衆志向が多い。だが、大有はお客様に寄り添い、個別のニーズに応えるためにオーダーメイドの姿勢を貫いている。その幅広く、あらゆる依頼に応える技術から、数多くのお客様の拠り所となっている。例えば、同社にはドラムポーターというドラム缶を昇降装置に乗せ、安全かつ簡単に運べるようにする製品がある。お客様によって使うドラム缶の形状、重さが違うため、お客様の使用状況、要望に合わせた製品を作り、お客様を満足させ続けているのだ。『当社の製品は大衆受けを狙っているのではありません。その企業にしか無いニーズがある。それを満たせるのは大有だけ。そんな存在になりたいのです』

展望

お客様のニーズを掴み続けたい

『常にお客様のニーズに対してアンテナを立て、大有にしか提供できない価値をお客様に提供し続けたいです』と田中社長は未来を見据える。常にオーダーメイドにこだわり、お客様一人ひとりと真摯に向き合ってきた同社。独自の技術力を生かして標準的なニーズではなく、お客様の個別具体的な特化したニーズを満たし続ける所存だ。 同社の製品に今まさに脚光を浴びている『ブレーカシリーズ』というものがある。これは、粉や粒体の輸送に使うクラフト袋体やフレキシブルコンテナ内にある岩塩や、亜硝酸などが固化してしまい、排出ができないというお客様の声に対して、その作業改善のために大有の技術力を駆使して開発されたものである。販売されるや、今までにない製品としてたちまち脚光を浴び、今ではデモンストレーションの依頼が各地から殺到するほどだ。今後もお客様の生の声に真摯に耳を傾け、『ブレーカシリーズ』の様な製品を生み出し、お客様のニーズに応えたいと語る田中社長の目は、自信に満ちている。『当社の技術でお客様の作業効率を上げ、お客様の生産性の向上に努め続けます』

自立し、謙虚たれ。伝統と技術を守りながら、一枚岩の組織へ

田中社長が経営をする上で大切にしている信条を教えてください

『常に謙虚たれ』の信条です。これは今社内にも徹底し直しています。前提として、製品の価値はお客様が決めるものであり、作り手が決めてはなりません。何故なら製品において感じる価値はお客様によって違うからです。値段なのか、納期の早さなのか、質なのか、お客様毎に違います。如何に優れた製品であり、優れた技術を持っていたとしても、そのお客様にとって必要がなければ、価値は無いのです。私達も65年間この道でやってきてお客様からの支持を得ているので、製品や技術に『誇り』を持っています。『誇り』であるうちは良いのです。これが『驕り』となり、『自社の製品は問答無用で素晴らしい』という考えになってしまうと、企業は壊れていくと考えています。常に謙虚に、お客様ありきで考え続けることが、企業繁栄の絶対条件なのです。

貴社の人材育成方針を教えてください

当たり前の事を徹底して出来るようにして、かつ社員の自立を意識しています。今後の大有を背負うのは、若い世代なので、上の世代の営業力や技術を伝承し、若い世代が自立して働ける環境を創りたいと考えています。そのためには若手の個性を伸ばすことが大切となってくるので、当社では褒めて伸ばし、自分の得意な分野で戦わせるようにしています。営業なら営業、設計なら設計で得意な分野で場数を踏んでもらい、長所に特化させながら、一日も早く自立をして欲しいのです。私自身、社員の情報を知るために大阪の営業所にもよく顔を出しますし、部門長会議でも社員の情報共有を行い、常に適材適所に人員を配置するように心掛けています。今この考えが社風という形で浸透しつつあります。企業を創るのは社員ですから、社員が自立して仕事が出来るように全力を注ぎます。

今社内で強化している取り組みを教えてください

2つあります。1つ目は、次の大有のリーダーとなる世代の育成です。そのための取り組みとして、毎週月曜日に各部門長の会議を開き、各部署の状態や部門長の意見を積極的に取り入れながら、社内の状況を管理し、部門長の自立性を強化しています。 2つ目は、今まで以上に各部門の協力体制を強化することです。何故なら、各部門の問題は他の部門とリンクしているからです。営業部が良い案件を取り、良いヒアリングをしても、設計部や製造部にその情報が正確に伝わらなければ意味がありません。『標準品では解決できない課題を解決するのは私達しかいない』という想いで来て下さるお客様もいます。ですから、今まで以上にニーズを迅速に、正確に読み取り、製品を作りお客様に価値を提供しなければいけません。社員が一層成熟し、堅固な一枚岩の組織になれば、大有の未来は明るいです。

  • ドラムポーターが大有の歴史の始まり

  • 絶えず技術の研鑽を

  • 注文が殺到中のブレーカシリーズ

社員一同想いは同じ。全てはお客様のために

大有株式会社 所長 小島龍一 / 技術部 外川伸和

今回の取材では、2人の社員にお話を伺った。東京営業所の所長である小島龍一さんと技術部の外川伸和さんだ。お二方は新卒で大有に入社。小島さんは14年目の社員で、36歳という若さで東京営業所の所長を任され、新たなお客様のニーズを一つでも多く満たすため、日々営業の強化に努めている。 外川さんは、9年目の社員。設計として正しくお客さまのニーズを形にするため、現状に甘んずること無く、技術を磨き続けている。お二方とも部署は違えど、大有の『For User』の精神を心に刻みながら、日々仕事に励み続けている。どんなに細かく、難しいニーズにも真摯に向き合い、お客様のニーズを満たした時にお客様の笑顔を見ることが何よりの喜びだそうだ。大有の社員として、そして1人の人間としてお客様に向き合うお2人の仕事に掛ける想いを伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い

入社理由

人の縁が、大有との縁

お二方に共通している理由に『縁』がある。 小島さんは先輩が大有で勤めていたこと、創業者の宮永進氏が小島さんの出身大学と縁が深かったという経緯があり、14年前に入社した。『不思議なご縁から入社しましたが、この縁のお陰で田中社長をはじめ、大有の社員と会うことができたので、縁を下さった方々には感謝しています』と小島さん。更には、小島さんの後輩も大有に勤めており、大有の『縁』は脈々と続いている。 また、外川さんも大有との『縁』に導かれて入社した。理系の大学に在学していた外川さんは、自分の学んだスキルを仕事に生かしたいと考えていた。そんな中、教授と田中社長が知り合いということで、紹介をしてもらったのが大有との出会いである。 『大有だけを見ていたわけではないのですが、面接の時に実際に工場の現場を間近で見せて貰えたのが良かったですし、その時の社員の方の温かい対応が入社の決め手ですね』と外川さんは当時を振り返る。大有との縁に感謝し、その大有の一員としてお二人は今日もお客様を大事に想い、仕事に励む。

やりがい

【小島】お客様からの喜びの声 /【外川】設計から製造まで見れる

『やはり、お客様のニーズをヒアリングし提案して、お客様の笑顔や喜びの声を貰った時に一番のやりがいを感じますね』と小島さんは嬉しそうに語る。 オーダーメイドでやっているからこそ、お客様のニーズは多種多様。毎回そのお客様のためだけに考えを巡らし、お客様を想った提案をする。だからこそ、小島さんは提案が受け入れられた時、この上ない喜びを感じるのだ。 外川さんは、自分が設計した製品が、製造され形になるまでの工程を見れるという設計の醍醐味にやりがいを感じている。営業部がお客様からヒアリングしてきたニーズを、外川さんたち設計部が、正しく図面化する。そして、製造部が製品化する。自分の書いた平面のものが、立体となって出来上がり、お客様に価値を生むところを見れる。この時やりがいを感じている時の心境は、親が子供が育っていくのを見るような心境だろう。設計の外川さんだからこそ感じることのできるやりがいだ。

オーダーメイドを貫きつつ、新たな躍進へ

今まで以上に多く方に大有を知ってもらい、かつ既存のお客様には今までに無い新しい価値を提供する。これがお二方に共通する想いだ。小島さんは、そのために必要なこととして、若手の育成と更なる大有のPRの必要性を語る。『営業所長として、若手を自立させることは義務であり、必要なことです。これからを担っていくのは下の世代ですから。また、これからは商社などと連携して、より多くの方に大有を知って貰いたいですね。品質には自信がありますから』と小島さんは目を輝かせる。 外川さんは、設計として大有のオーダーメイドの矜持を貫き、製品に生命を吹き込み続け、かつ自身は、大有のことなら何でも分かるようなオールラウンダーに成長したいと語る。『昔からある製品をお客様仕様にして新しく生命を吹き込みながらも、新製品の開発の一端も担って新しい風を吹き込みたいですね』 今後はお二方の世代が大有の中心を担っていく。伝統の技術と若い力で大有は新たなステージに躍進していくだろう。

  • お客様の声を正しく形に

  • オーダメイドで多様なニーズに対応

  • 活発な意見交換が社員の自立を促す

自由な社風がアイディアを生み、お客様のニーズを形にする

社内の雰囲気について教えてください

【小島】自由にのびのび働いていると思います。これは社長の人柄から来ていると思います。社長は本当に穏やかな人で、みんなの意見を聞いてくれます。だからこそみんな意見を言い合えますし、私も会議で社長とも意見交換することが出来ます。私達社員もこの雰囲気をより良くして、各自が大有の発展のために考えを発信し合える環境を創り続けたいです。

【外川】風通しが良い環境ですね。当社は営業部、設計部、製造部の全てが一箇所にある珍しい企業です。他部署間の交流もあり、各部署の意見を直ぐに反映できるスピード感もあります。この社内の雰囲気が、大有のものづくりが柔軟かつ即座にニーズに対応出来る源泉だと考えます。社長を始め、社員がお互いの部署のことを尊重しているので、お互いの部署を想い、協力し合っているのだと思います。この環境は大有の強みの一つですね。

大有の製品への想いをお聞かせください

【小島】現在はブレーカシリーズを打ち出しています。固化した粉体を排出しやすくするこの製品は、今や当社の看板製品です。ブレーカシリーズのように、業界の先駆けとなるような新しい看板製品を数多く作り出したいです。こういった製品を作れているということは、お客様に貢献できているということですから。お客様のニーズの中にある製品のヒントをしっかりとすくい上げたいですね。

【外川】やはり、今後も常にオーダーメイドを貫いて、一企業、一お客様のために製品を作り続けたいです。お客様の要望は千差万別です。ですが、どれだけ難しい要望でも当社を頼ってくださるお客様の声には正しく応える責務があります。お客様の信頼を一つひとつ着実に獲得し続け、信頼の輪を創り続けたいです。

今後強化したいポイントを教えてください

【小島】個人の長所の特化と、営業同士の情報共有を強化したいですね。例えば、各個人の営業上の強みは違います。ドラムポーターの知識が深い営業もいれば、投入機に関して誰よりも知識を持っている営業もいます。長所は伸ばし、かつ自分の得意な分野の情報は共有し合う。個人の強みを生かし合って営業力の向上を図り、今までに無い大有の価値をお客様に提供したいですね。

【外川】今以上に部署を越えた繋がりが必要になると考えます。各部門同士の情報共有が一層強化されれば、お客様の想いをより洗練された形で製品にすることが出来ます。営業部はお客様のニーズを聴き入れ、設計部が基を作り、製造部が形にする。この流れをよりスムーズにするためにも、もっと積極的に他部署と関わる必要がありますね。

担当者からのコメント

  • 監修企業 担当者

    今回の取材で、田中社長、小島さん、外川さんの3名にお話を伺いましたが、お客様を第一に考えつつも、言葉の節々には自社を想う『愛』や『誇り』が溢れていました。今回、大有の『For User』の精神によるオーダメイドを貫く姿勢を目の当たりにし、当社としても大変良い学びとなりました。当社のサービスもオーダメイドでお客様に提供しているので、大変近いものを感じましたし、もっともっとお客様目線に立って仕事をしなければいけないと再認識させていただきました。今後の大有の進化から目が離せないですね。

掲載企業からのコメント

  • 大有株式会社 からのコメント

    当社の65年間の伝統と技術、考え方を振り返る機会となりましたが、今後もブレずに『For User』を貫いていくことが大事だと再認識しました。まだ代表について間もないですが、次世代へ向けた新しい大有を創って行くために走り続ける所存です。

企業情報

  • 創業年(設立年)

    1950年

  • 事業内容

    ・特殊省力機器 ・各種ドラム缶ハンドリング用機器 ・各種荷役運搬機器 ・材料投入用装置 ・反転・回転作業用機器 ・吊上作業用機器 ・切削油回収装置 ・リンクカップリングその他特殊機器

  • 所在地

    東京都江東区新砂3-2-5

  • 資本金

    1,000万円

  • 従業員数

    50名

  • 会社URL

    https://taiyu-kabu.co.jp/

沿革

  • 1950年~1992年

    1950年
    創業者宮永進が大有商事株式会社を設立

    1953年
    ドラム缶運搬車「ドラムポーター」を考案、製造販売を開始する

    1955年
    第9回発明展でドラムポーターが発明協会長賞を受賞

    1957年
    日本アイソトープ協会にポーターリフト及びドラムポーターを納入
    原子力関係に進出の最初である

    1963年
    菊池武英、ドラム缶運搬装置の発明により、発明協会発明賞を受賞

    1968年
    宮永進、科学技術振興功労により、勲五等雙光旭日章を授かる

    1970年
    創立20周年記念式典挙行

    1976年
    日本原子力発電株式会社。
    敦賀原子力発電所(日本碍子(株)経由)に特殊タンブルリフト納入
    (日本ガイシ(株)の原子力産業への進出に協力し、
    原子力発電所の設備への進出の足掛りとなった)

    1980年
    創立30周年記念式典を行う。
    菊池武英、社長に就任。宮永進、会長に就任

    1990年
    創立40周年記念式典をホテルグランドパレスにて行う

    1992年
    中部電力(株)浜岡原子力発電所(日本碍子(株))に
    ドラムリフトクランプ1トン型を納入

  • 2003年~2014年

    2003年
    本社を東京都江東区新砂3-2-5(現在地)に移す

    2008年
    大阪営業所移転

    2014年
    新設分割により、100%子会社(大有株式会社)にて
    マテリアルハンドリング事業を継承する

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