取材趣旨:企業インタビュー
インターネットや電子書籍の普及によって、縮小傾向にある印刷業界。その印刷業界において、お客様の要望を全て形にすることで「何でも屋」としての地位を確立し、67年もの歴史を築き上げている会社がある。それが今回取材をさせていただいた、協永堂印刷株式会社だ。「まずはやってみる」ことで得意分野を着実に増やしていき、ワンストップでサービスを提供できる体制が整っている同社。名刺やカタログの作成はもちろん、ボールペンの名入れやラッピングバスなど、「何かに模様をつけること」なら何でも引き受けるという。本取材では、「無駄なものは一つもない」を信条に、「何でも屋」を牽引している萩原社長からお話を伺った。
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協永堂印刷株式会社
代表取締役社長萩原 俊長
私ども協永堂印刷は創業以来、お客さまと共に歩み、「身近で便利な印刷会社」「困ったときに頼れる存在」になるべく、鋭意努力を積み重ねてまいりました。
最近では、印刷会社として長年培ってきた技術とノウハウをベースに「アナログとデジタルの融合」を高い次元で実現。印刷以外の分野も含め、あらゆるご要望にお応えできる体制構築に努めております。
また、お客さまとのコミュニケーションを大切にし、いかなる商談もPersonal Partnershipを合い言葉に丁寧な営業活動を心がけております。そういったお客さまとのコミュニケーションの中から得られた情報を集積・共有することにより、お客さまのお役に立てる提案が行えるよう日々活動を行っております。
お客さまが最高に満足していただけることが私どもの喜びです。お客さまの企業価値向上に少しでも貢献できれば幸いです。
何卒末永くご支援、ご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
目次
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
長い歴史を築き上げた真面目さを土台に、「考動」する
同社の社風について、「一所懸命で真面目」と表現した萩原社長。やるべきことを確実に行い、お客様に対して誠実に向き合ってきたのだ。だからこそ67年もの長い歴史を築き上げ、現在のような数多の商品を生む出すことができたに違いない。しかし、この現状にも満足することなく、さらなる進化を追い求めているのが萩原社長だ。同社が一段レベルアップするためには、社員一人ひとりが本当に必要なことを考え、ものの見方を変えていく必要があるという。同社では、生産性の向上をテーマとして掲げている。それを達成するための方法を各々が考えていかなければならないのだ。考えて動くこと、これを「考動」と呼ぶ萩原社長。「考動」することで新たな発想が生まれ、それを組織として共有することで生産性を上げていく。
社員一人ひとりが一所懸命に仕事に取り組むことで長い歴史を築き上げてきた同社。その「行動」が「考動」へと昇華された時、同社の成長速度は、何倍にも速くなることであろう。
「何でも屋」だからこそ、ワンストップで引き受けられる
印刷にまつわることであれば、何でもワンストップで引き受けられること。これが同社の独自性だ。とはいえ、もちろん最初から全てを行えるわけではなかった。紙への印刷から事業が始まった同社。お客様に必要なことは何でも引き受け、歴史を重ねるにつれて事業領域を拡大してきたのだ。
例えば、あるイベントにブースを出展するとしよう。すると、イベントで用いる名刺やカタログ、封筒はもちろん、Tシャツや法被まで、同社ならば一手に作成を引き受けることができるという。これこそが、自他ともに認める「何でも屋」の姿だ。
そして、この「何でも一手に引き受けること」で、現在のワンストップサービスが成り立ってきたという。誰しも「最初から得意」などということはあり得ないのである。まずは無理矢理にでもやることで、武器となっていくのだ。現在は、小ロット多品種生産など、「誰もやりたがらないような仕事を喜んでやる」という萩原社長。今後もサービスの幅をさらに広げていくに違いない。
物流を発展させ、お客様が喜ぶサービス提供する
商品を届けるための物流ネットワークを整備すること。同社の目指す先について萩原社長はこう語る。これまで、お客様の願いを叶え「何でも屋」としての地位を築いてきた同社。しかし、どれだけ良いものを提供できる準備があったとしても、それを届けることができなければ、当然活躍の場も生まれない。萩原社長は「ビジネスを一番発展させるのは物流だ」と断言する。物流拡充のための第一歩として、3年前に鈴鹿に営業所を開設した同社。鈴鹿を足掛かりに、ゆくゆくは全国の都道府県に営業所を出展することを視野に入れている。
「都心よりも、地方の方が品質、価格への評価が厳しい」と萩原社長が語る通り、鈴鹿でもお客様からの信頼を勝ち取ることができれば、全国展開は目前だ。物流が整うからこそできることが増え、できることが増えるからこそ新たな地に進出できる。この好循環を生み出していく同社の今後が楽しみでならない。
まずはやってみることで、得意を広げる
経営を行う上で、大切にしている考え方は何ですか
「無駄なものは一つもない」という考え方です。人の価値観は、時と場合によって変わりますからね。良いのか悪いのかは、まずは体験してみないと分かりません。体験してみて、良いと感じるならば継続してください。逆に悪いと感じたとしても、そこからも様々な学びを得ることができます。「悪い」と定義するのであれば、そこに至ったプロセスはどうだったのか。それを突き詰めて、次は同じプロセスを踏まないようにすれば良いのです。いずれにしても、まずは体験すること。これが非常に大切です。体験した上で人と話すと、机上の空論ではない議論が生まれます。その議論が深まった時に、ようやく本質が見えてくるのです。無駄なことは一つもありません。何事もまずは体験してみてください。
新卒採用に力を入れている理由を教えてください
技術やノウハウは人にしか溜まらないため、人に投資をする必要があると考えているからです。お仕事をいただくことができている今の状況に安心してしまっていたら、10年後はどうなるか分かりません。人が抜けた瞬間に会社は傾くでしょう。技術やノウハウが溜まるのは、会社ではなく人です。だからこそ早い段階から人に投資をしているのです。また、人は教わる時より教える時の方が、本当の意味で学ぶことができます。新卒を採用することにより、我々が学びの機会を得ているのです。その上で、採用した若手が成長すれば、それと連動して会社としての売り上げも伸びていくでしょう。ベテラン社員の技術を若手に引き継いでいただいて、その若手の中から次世代のリーダーが出てきてくれると嬉しいですね。
求職者へのメッセージをお願いします
成長することに対して貪欲な方にぜひ来ていただきたいです。弊社では、どのようなことでも成長できる環境を提供する自信があります。成長とは、「できないことが、できるようになること」だと私は考えています。そのため、成長するためにはやったことのないことをやるしかありません。私の座右の銘は「為せば成る。為さねば成らぬ。成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉です。何事も、まずはやってみなければできるようにはなりません。「こういうことがやりたい」という明確な意思があれば、私はそれを応援します。ぜひチャレンジしてください。私自身も自分の成長を追い求めているので、一緒に成長していきましょう。
真面目さで築いた67年の歴史
全国展開の足掛かりとなる鈴鹿事業所
「何でも屋」を成立させるための設備
お客様のイメージを0から形にする

協永堂印刷株式会社 営業部 営業1課 東京グループ 芳賀 淳也
今回お話を伺ったのは、2年前に中途で入社した芳賀さんだ。前職はアパレル会社の営業であった芳賀さん。服のような既製品を売るだけではなく、お客様のイメージを0から形にしていく仕事がしたいという思いを持って、同社に飛び込むことを決めた。実際に入社してから、挑戦を良しとする同社において、お客様のお客様にまで喜んでいただけるものづくりを徹底している芳賀さん。将来的には、制作の知識も身につけることで、お客様のイメージをそのまま具現化できるようになることを目指している。本取材では、入社の経緯ややりがい、今後の目標を伺うことで、芳賀さんの仕事にかける思いを明らかにしていく。
伝統の承継と挑戦の未来を担う社員の思い
挑戦できる環境で、0からものづくりに携わる
「0からものづくりに携わりたい」。その思いを抱えて、芳賀さんは同社に飛び込んだ。芳賀さんが入社したのは2年前。それ以前は、アパレル業界で営業を行っていたという。洋服は自分でつくるわけではないため、営業として、いかに既製品を売るかが求められる仕事であった。一方、印刷から事業が始まり、今では数多の商材を持つ同社では、お客様の要望を聞き、お客様の求めているものを提案することが必須となる。自分で提案した商品が世に出て、お客様に喜んでいただけることに惹かれたのだ。 また、実際に入社してみると、様々なことに挑戦できる環境も整っていたという。挑戦には失敗もつきものだが、その挑戦を良しとするのが同社の特徴だ。「よほど煮詰まるまでノーはない」と芳賀さんが語るように、お客様の要望に真っ向から立ち向かい挑戦するからこそ、完成した際のお客様の喜びも大きいのだろう。日々挑戦し、お客様の要望を0からつくり上げていく芳賀さんから、今後も目が離せない。
お客様のお客様にまで喜んでいただけるものをつくる
お客様はもちろん、お客様のお客様にも喜んでいただけること。それが同社における芳賀さんのやりがいだ。お客様のお客様からの反響を聞くことで、「お客様のための成果物をつくったのだという実感が得られる」と語る芳賀さん。しかし、そこに行きつくまでには、当然並々ならぬ苦労と努力がある。なぜなら、同社での仕事は決して一人では行うことができないからである。芳賀さんがお客様からの要望を聞き、頭の中を想像し、それをデザイナーに伝えて0から形をつくり上げていく。この過程において、デザイナーにはデザイナーの価値観があるため、なかなか芳賀さんの思い通りのものはできあがらないという。つくっては修正しを繰り返し、理想の形に近付いていくのだ。このように、妥協を許さず良いものを追求していく姿勢があるからこそ、お客様のお客様にまで喜んでいただけるものが提供できるのであろう。その顔を見るために、芳賀さんは今日も試行錯誤を繰り返しているのだ。
制作の知識を身につけ、その場でお客様に提案できるようになる
制作の知識を身につけることで、お客様の要望を聞くだけでなく、その場でお客様に提案できるようになること。芳賀さんは自身の夢についてこう語る。 芳賀さんの役割は、お客様の要望を聞き、それを実現していくことにある。しかし、お客様の要望に応えられるかどうかの判断や、細かい修正などが必要になる度に、その案件を社内に持ち帰っていたら、お客様への提供スピードはどれだけ遅くなってしまうことだろうか。逆に、営業である芳賀さん自身が制作の知識や知恵を身に付けておけば、提供までのスピードは格段に上がるに違いない。例えば、印刷物のレイアウト一つとっても、読みやすくするための黄金比率が存在するという。 また、芳賀さんが制作の知識や知恵を身につけることで、お客様のイメージをそのまま具現化することも容易になるだろう。このように、スピード面でも品質面でも、お客様の満足度を上げ、信頼を勝ち取っていく芳賀さんの進化に注目だ。
Tシャツ印刷など、商材の幅が広い
お客様のために、打ち合わせは必須だ
社長と密に接する機会も多い
「何でも屋」だからこそ出せる付加価値
貴社において、やりがいのある仕事ができている理由は何ですか
各部門ごとにスキルが高く、専門のプロやベテラン社員とも協力ができる環境にあるからだと思います。様々な方の声を聞き、共作に近い形でものづくりに取り組むことができます。また、社内での繋がりだけでなく、現場の第一線で活躍している、外部のデザイナーさんとお話をさせていただくこともありますよ。多分野の方からお話を伺い、そこで得たものを社内に落とし込んでいます。これが各部門のレベルが高くなる大きな要因となっています。高いレベルでのサービスを提供できるからこそ、お客様から提示されたものをそのまま印刷するのではなく、付加価値を出すことが可能になります。その分お客様からも喜んでいただけるので、大きなやりがいを感じますね。
会社をさらに発展させるために、挑戦したいことは何ですか
全く別の新しい事業をやってみたいですね。営業として、弊社の強みはお客様のご要望を叶えられることであり、印刷に関することならば何でも引き受けられることだと思っています。ですが一方で、こちらから発信できるような武器、「これが得意です」と言えるものが少ないように感じます。何か一つでも売れ筋のものをつくりたいですね。何でも引き受けられる上で、明確な武器をつくることができたら、さらに発展していけるでしょう。せっかく協永堂印刷に入社して、働かせていただいている御恩もあるので、自分の手で会社の価値を上げられるような仕事をしたいですね。武器をつくり出せるよう、試行錯誤していきます。
萩原社長の印象を教えてください
とても熱意があって社員思いな方ですよ。社員の働く環境を良くしようと、常に尽力してくださっています。お客様から「さすが協永堂の社員だね」と言われるような人づくりを目指していると聞いたことがあります。 また、勉強熱心で、印刷のことはもちろん、世間のことについても知識が豊富ですね。様々な組織の制度なども勉強して、僕らが働きやすい環境を整えてくださっています。あまりにもストイック過ぎて、少し近寄り難い雰囲気を感じてしまっている社員もいるかもしれませんが、根はとても優しい方だと感じています。お酒の席やゴルフなどの場で、本音を伺う機会も多いです。その度、この社長についてきて良かったなと思います。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
「印刷」と名の付くものならどのようなものでも引き受け、事業領域を広げてきた協永堂印刷様。「何事も、まずはやってみないとその良し悪しは判断できない」という萩原社長のお言葉が強く印象に残っています。無茶であっても、やってみるからこそ得意が増える。その姿勢で、今後も着実にできることを増やしていくことでしょう。
掲載企業からのコメント
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協永堂印刷株式会社 からのコメント
この度は取材をしていただき、ありがとうございました。取材を通して、弊社がどのような考え方を大切にしてきたのかについて、改めて社内外へ発信する良い機会になったと感じています。今後も様々なことに挑戦し、会社としても、私個人としても、より一層成長して参ります。印刷に関することであれば、何でもご相談ください。
企業情報
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創業年(設立年)
1950年
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事業内容
●プリンテイング オフセット印刷/オンデマンド印刷 UVインクジェットプリンティング ●テキストメイキング Mac-DTP/Win-DTP 原稿作成/翻訳 MS-officeデータ加工/データ変換 ●イラストレーション 挿絵用イメージイラスト/3Dイラスト キャラクター作成/ロゴ・マーク作成 アニメーション/テクニカルイラスト/トレース ●プランニング/デザイン 各種 企画・立案/グラフィック・デザイン
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所在地
埼玉県朝霞市泉水2-8-21
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資本金
3,000万円
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従業員数
127名
- 会社URL
沿革
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1950年~1986年
1950年03月
創立者萩原俊夫が東京都北区中十条において
協永堂印刷の前身「ジャーナル社」創業
1959年03月
同番地において「協永堂印刷株式会社」を設立
1961年07月
東京都板橋区清水町に分工場を設立、業務分業化を図る
1964年08月
埼玉県和光市に社屋を新築。工場、分工場を合併移転
1979年10月
埼玉県新座市に倉庫新築
1984年12月
栃木県宇都宮市に栃木事業所開設
1986年05月
埼玉県朝霞市に朝霞事業所開設 -
1998年~2008年
1998年12月
朝霞事業所社屋を新築
2000年03月
創立50周年
2001年10月
本社を和光から朝霞に移転
2002年10月
朝霞倉庫開設
2005年04月
本社でISO14001認証取得
2006年08月
本社でISO9001認証取得
2008年06月
栃木事業所社屋を新築、移転 -
2013年~2016年
2013年10月
全事業所において太陽光発電、設置完了
2014年01月
本社営業部 ISMS認証取得
2014年12月
三重県鈴鹿市に鈴鹿オフィス開設
2015年07月
東京都中央区日本橋に東京オフィス開設
2016年03月
一般労働者派遣事業開始
取材趣旨:企業インタビュー