取材趣旨:企業インタビュー
「自由なる創意の結果が、大いなる未来を拓く」という理念を掲げ、めっき業界をけん引してきた清川メッキ工業株式会社。同社のモットーは「自由な発想で、人真似をせず、誰も思いつかなかった独創的なめっき技術を生み出すこと」。独自のナノめっき技術による製品の小型化で、省資源、省エネ化を進めている同社。地球環境を守り、何百億個の部品でも1個の不良も出さず、世の中に安全安心な商品を提供してきた。 今回取材したのは、2010年に創業者の清川忠会長からバトンを引き継いだ清川肇社長。就任以来、「文部科学大臣表彰」、「環境大臣表彰」、「地域未来牽引企業認定」など、輝かしい功績を残してきた同氏に、歩んだ軌跡、そして未来を見据える同社への想いを中心に伺った。
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清川メッキ工業株式会社
代表取締役社長清川肇
清川メッキの企業理念は「自由なる創意の結果が、大いなる未来を拓く」です。創意とは、これまでにだれも思いつかなかった新しい思いつき、独創的な考え方、つまり人真似をしないということ、未来を拓くとは、次の世代に役立つ新たな技術を切り開き、世の中に貢献するということです。
清川メッキの存在する価値は、「自由な発想で、人真似をせず、だれも思いつかなかった独創的なめっき技術を生み出すことで、次世代の地球環境を守り、世の中に安全・安心を提供していく」ことにあります。
当社独自のナノめっき技術による製品の小型化で、省資源、省エネ化を進め地球環境を守り、何百億個の部品でも1個の不良も出さず、世の中に安全安心を提供していくことができます。 この理念は時代が変わろうが、企業が続く限り永遠に受け継がれるものです。 清川メッキはいつの時代もお客様に必要とされ、満足し、感動して頂ける技術を提供し続けてまいります。
目次
伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
創業時代から培った、挑戦するスタイル
一般的に、人が自分の限界を決めてしまうのは、自分にどのくらいの力量があり、自分では可能であるのかを見極め、どうするのかを判断するから。要するに、無理だと判断したものは諦めるのである。同社の社員は限界を決めず、どのような依頼であっても、「できない」を言わず、挑戦をする。なぜ、ここまでひるまず、チャレンジ精神をもって取り組めるのか。その根底には、「お客様の要望に応えたい」という強固な信念があった。お客様の要望に対して挑戦を続けてきた結果、チリ、ほこり、花粉といった微小なものに対して、めっきすることを可能にした。また、同社には、世界初の技術が多数存在する。だが清川社長は、「特にそれを狙ってはいなかったのですが、お客様からの要望に対して取り組んだ結果、世界初の技術が生み出されました」と話した。お客様のどんなニーズに対しても、真摯に取り組み、結果を出してきた同社。今後もこのスタイルを継続し、新たな挑戦に対し、闘志を燃やす。
数多くの真似できない技術
清川メッキ工業の強みを「引き出しの多さ」と語る清川社長。「汚れのつきにくいめっき」、「はんだ付けを行いやすいめっき」、「硬いめっき」など、業界のニーズに合わせて、技術を使い分けることができるのだ。また、同社へは特殊なめっきの依頼が来ることも多々ある。その提案に対して、さまざまな業界のめっきを経験しているからこそ、「技術の応用」であったり、別業界であっても、「汎用性のあるめっき技術」など、常識に捉われない提案とともに、顧客の要望へスピーディーに応えてきた。革新的なめっき技術を持ちながら、同氏はこれからも、「できないを言わない」というスタイルを継続し、さまざまな業界のニーズに応えていく姿勢を見せている。積極的にチャレンジを続ける同社は、世の中に必要とされるものを生み出す力を有す、まさに革新的な企業である。
社員が幸せに、いきいきと働く職場に!
社員の幸せを追求し続ける。これこそ清川メッキ工業、そして清川社長が目指す、今後の展望だ。同氏がこの展望を目指すことに至った背景は、ある研究テーマがポイントであった。それは社員の「幸福度」がもたらす「効果」の研究だ。幸せだと感じる社員が働く「A社」と、幸せではないと感じる社員が働く「B社」を比較すると、A社の方が、社員の創造性が3倍ほど良く、利益に関しても3割ほど多かったのだという。この研究に基づき、社員の幸せを追求してきた同氏。その一つの成果として、2020年3月に健康経営優良法人2020の認定を受けた。「退職者が出たら、全て自分が悪いという認識です」と語り、今後も、社員が幸せに定年まで勤めることのできる会社を目指しているのだという。同氏の挑戦はまだまだ序章に過ぎない。これからも社員がいきいきと働く環境を提供するべく、清川社長の挑戦は続く。
清川メッキ工業が大切にしていること
創業時代の話を教えてください
弊社は、本当に紆余曲折を経て創業に至りました。創業者は私の父、現会長の清川忠であり、農家の次男坊として生まれました。会長の親からは「養子に行け」と言われていたらしいのですが、そのことに反発するために、独立することを決意したそうです。また、めっき屋に決めた経緯も、電話帳の職業欄で、一番少ない職業を選ぼうと思ったことが、きっかけだったそうです。まずは、福井の企業に就職した後、大阪の企業へ転職。大阪で実力をつけ、地元である福井に戻り、めっき屋を創業しました。創業した年は、結婚した年でもあったそうで、さまざまな想いが詰まった形で、清川メッキ工業は生まれました。
清川会長から、会社を引き継いだ、 当時の話をお聞かせてください
結果的に会社を継ぐことになりましたが、もともと継ぎたいとは思っていませんでした。当時は、敷かれたレールを走ることが嫌で、大学院を経て、大手半導体メーカーに就職しました。そこで知識や経験を積み、最終的には自分の意思で清川メッキ工業を継ぐことにしました。遠回りをしましたが、無駄だったとは思いません。半導体メーカーという、めっきとは別の業界で働いていたことから、その経験を、弊社にも取り入れようと試みました。不良解析やナノめっき技術などは前職の経験を活かして、できたものです。過去に捉われず、新しい発想を生み出すために、さまざまな経験をすることは良いことだと思いますね。
今後、入社される方たちへメッセージをお願いします
弊社では、「製造部」、「技術部」、「品質保証部」、「総務部」と多くの部署があります。そのため、適材適所で、それぞれの方の特性を活かして活躍していただきたいと思っています。実際に、弊社で活躍する人は、さまざまな個性を持っており、共通するものは、ほとんどございません。しっかりと経験を積み、弊社だけではなく、町内など、多くの場所で活躍できるように成長してもらいたいと思っていますし、成長する環境は整っていると思います。共に挑戦し、共に未来を切り開く仲間を募集していますので、興味がある方は、是非お越しください。
清川社長が社員と和気あいあいと コミュニケーションを取る様子
めっき前の花粉(左)と めっき後の花粉(右上)と 花粉断面(右下)
半導体装置
さまざまな角度から同社を支える 次世代リーダー

清川メッキ工業株式会社 第四製造部 主任 Y・M
2010年、地元である清川メッキ工業の技術開発に魅了され、入社を決意したY・M主任。入社後は、品質保証部に配属され、問題解析の力を養ってきた。現在は、スタッフ一人ひとりの得意分野に合わせて役割を決めたり、清川社長とプロジェクトを組み、会社を発展させるために、力を存分に発揮している。コツコツと努力を重ね、気がつけば、主任という立場で、会社の中核を担う存在になっていた。今回の取材では、同氏が思う、清川メッキ工業の魅力や、将来への意気込みを語っていただいた。
伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
技術開発に注力していた同社に惹かれ、入社を決意
2009年に就職活動を行っていたY・M主任。さまざまな企業がある中で、清川メッキ工業に決めた理由を「説明会を受けたとき、一番技術開発に力を入れているなと感じたから」と語った。大学時代は、化学系の学部を専攻しており、研究などを通して化学の楽しさを知った同氏。社会人となっても、継続して化学を学んでいきたいという思いを持っていたため、「技術開発」に注力した企業を探していたのだという。また説明会を通して、実際に働く社員の「フレンドリーさ」や「明るさ」といった雰囲気の良さも、入社を後押ししたのだという。入社後、コツコツと努力し、確かな実力をつけてきたY・M主任。清川社長の弟、清川専務は同氏に対して、「非常に優秀で、今後も活躍を期待している社員」と、太鼓判を押していた。そんな期待を一心に背負う同氏は、主任となり、会社の中核を担っている。
さまざまな場で経験を積んだY・M主任。 そんな同氏のやりがいとは
入社時は「品質保証部」に配属され、その5年後に「製造部」の業務を担うこととなったY・M主任。そんな同氏は「品質保証部」と「製造部」の両面についてやりがいを語ってくれた。品質保証部は、問題発生時、自ら解析をかけ、問題点を発見していく過程にあり、「わからなかったこと」が「わかること」に変わるやりがいを味わえるという。また、製造部に関しては、品質保証部で培った「問題解析力」を活かして、不良品の発生を未然に防ぐことにやりがいを感じるのだという。品質保証部と製造部、両方を経験し、地道に努力を重ねてきた同氏。さまざまな場で挑戦を続けてきたからこそ、できることを武器に、お客様から信頼される存在へと成長したのだろう。
更に会社へ貢献するために
2010年に入社し、一つの部をまとめるまでに成長。確かな実績を残してきたY・M主任に今後の目標を伺うと、「現在よりも、もっと会社に貢献できるようになりたい」と力強く答えた。また、技術を極め、何か問題等が発生した際に、自分が先頭に立って解決するような力をつけていきたいのだという。そのため、「知識」と「経験」を得るために、奮闘中の同氏。人事関係であったり、統計的な手法を用いたマネジメントシステムなどのセミナーを受講しているのだという。「今はまだ、部門長などに助けてもらっている場面の方が多いことは確かです。しかし、いずれは自分が部門長の職務を全うしたいと思っています」と更なる高みを目指し、邁進する同氏。言葉だけではなく、背中でみんなを引っ張るY・M主任は、これからも清川メッキ工業を成長させるために、必要な存在であるに違いない。
清川メッキ工業を支える 中堅社員たち
社員とコミュニケーションを取る様子
Y・M主任が製造で手掛けている電子部品
清川メッキ工業の未来を担うY・M主任の想いとは
Y・M主任から見た清川社長の印象を教えてください
清川社長は話しやすいです。私は、プロジェクトを共に進めていくことがあるのですが、行き詰まったときなどに相談すると、具体的なアドバイスがもらえます。また、話は変わりますが、もし社長に自らのアイデアを提案したとすると、もう一度考えて来なさいと言われ、一発で通ることはあまりありません。こうしてもらうことで、自分自身でもう一度振り返り、深掘りをすることができます。社長曰く、最初にアイデアを受け入れると、そこで思考が止まってしまい、成長も止まってしまうため、このやり方を大切にしているそうです。確かにこの手法で、私の意見がブラッシュアップされ、当時、世の中には存在しなかっためっき技術を生むことができました。本当に社長の考え方には驚かされましたね。
清川メッキ工業をさらに成長させるために、 どんなことが必要だと思いますか?
ゆとり教育など、教育方法なども変わってきていたため、各世代に合わせた「接し方」や「教育」をしていかなければならないと思っています。自分が部下と接する上で意識していることは、2つあります。1つ目は、やみくもに仕事をお願いするのではなく、力量であったり、その人に合わせた仕事を振るようにすること。2つ目は、ほとんど怒らないようにすることです。怒らないことが絶対に良いとは思っていないのですが、その人の特性であったり、良いところを引き出すように意識しています。これからも変化に対して、柔軟に対応していきたいですね。
どんな方に入社していただきたいですか?
熱意のある方に入社していただきたいと思っています。技術がなくても、熱い思いを持っていれば、成長できると思うので、まずは、「自分は成長したい」と思っている、意欲的な方に入社していただきたいですね。個人的には、仕事以外のことでも、「○○が好きなんだよな」というような感じで、趣味などで熱く語れる方に入っていただくと、社内も明るくなりますよね。私が淡々とした性格である分、バランスが取れるのかなと思います。また、弊社では、新しいことに挑戦できる環境も整っておりますし、手を挙げれば、社長と共にプロジェクト進めていくこともできます。興味がある方は、是非説明会などへ足を運んでみてくださいね。
担当者からのコメント
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監修企業 担当者
本日はお忙しい中、取材にご協力いただき誠にありがとうございます。同社の「できない」を言わず、とことんお客様のニーズへ信念をもって応えていくスタイルに、感銘を受けました。
これからも、同社が伝統を大事にしながら、発展していくことを心より願っております。
掲載企業からのコメント
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清川メッキ工業株式会社 からのコメント
この度は、取材をしていただきありがとうございました。 取材を通じて、改めて過去を振り返ることができたこと。そして見据えている、全社員が幸せに働き、成長する企業に向け、気を引き締めて頑張っていこうという、思いを再燃する良いきっかけになりました。まだまだ最前線を走るために、歩みを止めるわけにはいきません。これからも進化し、挑戦を続けますので、今後も皆様には成長を見守っていただけますと幸いです。
企業情報
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創業年(設立年)
1963年
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事業内容
電子部品、マグネット、半導体ウエハをはじめとする
各種材料への電解めっきおよび無電解めっき加工 -
所在地
福井県福井市和田中1-414
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資本金
4,000万円
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従業員数
316名
- 会社URL
沿革
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1963年~1988年
1963年
「清川メッキ工業所」創業
1967年
アルマイト処理を開始
1968年
「清川メッキ工業株式会社」設立
1982年
「清川化学技術研究所」設立
1987年
亜鉛めっき自動ライン完成
1988年
全自動電子部品めっきラインの導入
機械組立分野へ進出 -
1994年~2022年
1994年
品質システム「ISO9001」認証取得(めっき業界初)
1995年
清川メッキ歴史館完成(忠孝庵)
「福井県技術改善費補助金(創造的大型研究事業所)」認定取得
排水処理純水リサイクル装置完成
1998年
環境システム「ISO14001」認証取得(めっき業界初)
2000年
電気自動車バッテリー用のニッケル水素電池の負極材料の性能向上の開発
森田工場設立、クリーンルーム完備、半導体分野に進出
2004年
日本初 環境配慮型経営各付 無担保私募債発行(日本政策投資銀行)
2008年
試験所認定の国際規格「ISO/IEC17025」認定取得(めっき業界初)
2009年
受託分析サービス「めっきクリニック」本格始動
2010年
創業者 清川 忠 会長就任、二代目 清川 肇 社長就任
ISO14001においてASRP審査適用合格
2015年
安倍晋三 内閣総理大臣 工場視察
医療機器製造業として登録
品質マネジメントシステム「ISO9001:2015」認証取得(日本初)
環境マネジメントシステム「ISO14001:2015」認証取得(日本初)
2017年
要素技術センター設立
2022年
ソリューションセンター設立
取材趣旨:企業インタビュー